だから僕は海外に出る、さあ君も

「日本って何か変だなぁ」という疑問を胸に、思い切って海外脱出した著者が、海外からの視点で日本の社会問題や海外脱出アドバイスを綴るブログ。日本の奴隷的な長時間労働にうんざりしている人、ナショナリズム台頭・人口減・財政難の日本の行く末を危惧している人、協調性という名の同調圧力に耐えられない人、とにかく自分の殻を破ろうと思っている人、そんなあなたに『海外に出ること』を選択肢の1つとして提案する。

だから僕は海外に出る、さあ君も - ニートのガラパゴス日本脱出日記

ガラパゴス化している日本の奴隷的な労働環境と保守的な社会構造に適応できずに海外脱出したニートが海外視点で綴るブログ

仕事なんかクソだろ? 就活やめて日本を出よう! 奴隷やめて海外に出よう! 語学を学び世界に出よう! 「仕事なんてクソだろ」が売り文句の「ニートの海外就職日記」に影響を受けた、あるニートのブログ

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ヤフーとCCCのデータ共有—ビッグデータ活用の説明不足がプライバシー懸念を助長する

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ヤフーとCCC(TSUTAYAのTカードを発行会社)が、お互いに保有している利用者の行動情報の共有を発表し、波紋を広げている。当初はIT系ニュースサイトだけで取り上げられたが、NHKや新聞でも報じられた。

ヤフー Tポイントデータ共有 専門家は (NHKニュース)

利用者への十分な説明をしないことが不信感に繋がっている

ビッグデータとプライバシー以前、JR東日本がSuicaの利用履歴を、個人を特定できない形で販売することが報じられ、利用者の反発を買って先送りにされた。*1 また、大阪駅では、カメラを使った顔認識による追跡実験が、利用者の反発から先送りされた。*2 このままだと、ヤフーとCCCは、同じ轍を踏むことになる。

ニュースでも取り上げられているが、一番大切なことは「利用者への十分な説明」に他ならない。しかしながら、現状では、十分な説明がなされているとは言えない。ほとんどの人が読まない利用規約*3やプライバシーポリシーの中に、分かりにくい文言で書かれているのが実情である。*4

ビッグデータとプライバシーのあり方が大きくクローズアップされている今、なぜ、ビッグデータを活用しようとする企業は、利用者への分かりやすい説明に消極的なのだろうか?

おそらく「利用者がビッグデータについて知れば、多くは拒絶反応を示すのではないか。その結果、拒否する人が増え、ビッグデータが活用しにくくなってしまう」というのが理由ではないだろうか。冒頭で挙げたSuicaや大阪駅の前例を見ていると、そう考えるのも想像に難くない。

しかし、十分な説明責任を果たさないことが、利用者の不信感を募らせていることに気付くべきだろう。

墓穴を掘るヤフー

ヤフーは、ビッグデータの活用に非常に積極的である。

「日本がビッグデータ後進国になってもいいのか」ヤフーが警鐘を鳴らす理由 (ハフィントン・ポスト)

ヤフーは、プレゼンテーション資料の中で、「プライバシーフリーク」という言葉を使っている。フリーク(freak)とは「○○狂」を表す言葉で、このような公式な場で使うには不適切な言葉だ。

また、記事中で、ヤフーは次のようにも言っている。

お客様も慣れていくと思う。だが、そもそも“気持ち悪い”と思われる広告自体、失敗している。広告主にとって意味がない。(それをヤフーが望むわけもないので)全体としてお客様の利便性は上がるはず。

しかし、慣れの問題ではない。「習うより慣れよ」ではなく、「慣れるより習え」である。多くの利用者は、利用者の不安をなおざりにして、理念先行で利用者への告知が不十分なまま進めようとしている企業のやり方に、気持ち悪さを感じているのである。

利用者の反発がさらに高まれば、「ビッグデータの活用=企業による金儲けのための監視・盗聴・ストーキング行為」とレッテルが貼られ、法規制への気運も一気に高まる。そうなれば、ヤフーが懸念しているような「ビッグデータ後進国」になってしまう。自分の墓穴を掘っていることに気付くべきではないだろうか。

ビッグデータの活用はそれぞれの利用者の判断にゆだねよう

ビッグデータを活用するならば、利用者に十分な説明をすることだ。今回のヤフーとCCCの事例を例に取ると、ヤフーは、Tカード連携登録の際に表示されるページで、

「当社の保有するお客様のWEB閲覧情報と、CCC社の保有する商品の購入履歴を共有します。お客様にとってのメリットは…。情報共有を希望されない場合は、…でいつでも簡単に拒否設定できます」

といったように、図説で分かりやすく説明すればよい。CCCは、情報共有について分かりやすく説明したパンフレットを店頭で用意すればよい。情報共有を望まない利用者は、スマホアプリ内からのリンクや、パンフレット記載のアドレス先のページで、簡単に拒否設定できるようにすればよいだろう。

※実際のところ、CCCはやる気はないようだが。

CCCのオプトアウト窓口は、T会員の利用規約からFAQを経て、問い合わせフォームに自由記述で文字を入れて送信し、ようやく専用フォームに到達できる。

記者の眼 - ヤフーとCCCのポリシー改正と、個人情報保護法改正の行方を展望する:ITpro

こういった十分な説明をした上での利用者の反応は、

「どれだけポイントやお得なクーポンがもらえても絶対イヤ!」
「自分に合った情報が向こうから来るなんて便利!」

と分かれるであろう。

企業に対して、どこまでプライバシーに関わる情報の使用を認めるのか、各利用者の判断にゆだねればよいではないか。その上で、「利用者が得られるメリット(お得なクーポンやポイント還元など)の方が、プライバシーの懸念より大きい」と利用者が判断すれば、多くの利用者が納得して、ビッグデータの活用に同意する。そうすれば、今回のように否定的なニュアンスでニュースに取り上げられ、慌てて見送ることもなくなる。

もっとも、私たちサービスを利用する側も、高度情報社会を渡り歩くリテラシーを高める必要があるのは言うまでもない。

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