読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

だから僕は海外に出る、さあ君も

「日本って何か変だなぁ」という疑問を胸に、思い切って海外脱出した著者が、海外からの視点で日本の社会問題や海外脱出アドバイスを綴るブログ。日本の奴隷的な長時間労働にうんざりしている人、ナショナリズム台頭・人口減・財政難の日本の行く末を危惧している人、協調性という名の同調圧力に耐えられない人、とにかく自分の殻を破ろうと思っている人、そんなあなたに『海外に出ること』を選択肢の1つとして提案する。

だから僕は海外に出る、さあ君も - ニートのガラパゴス日本脱出日記

ガラパゴス化している日本の奴隷的な労働環境と保守的な社会構造に適応できずに海外脱出したニートが海外視点で綴るブログ

仕事なんかクソだろ? 就活やめて日本を出よう! 奴隷やめて海外に出よう! 語学を学び世界に出よう! 「仕事なんてクソだろ」が売り文句の「ニートの海外就職日記」に影響を受けた、あるニートのブログ

労働・サービス残業・ブラック企業・社畜・ワークライフバランス・海外脱出・日本脱出・英語・留学・人生・恋愛・政治・社会・日本・ニート・フリーター・貧困・ネット・IT

トランプ大統領はひどいけど、安倍晋三首相率いる自民党も相当ひどいよ

政治 自民党 時事ネタ

ドナルド・トランプ共和党のドナルド・トランプ氏がアメリカ合衆国第45代大統領に就任して、早くも10日が過ぎた。女性蔑視、マイノリティー排除、差別主義、移民・難民排斥、保護主義など、選挙期間中から過激な発言を繰り返していたトランプ大統領は、就任後は次々と過激な公約を実行に移し、アメリカ国内外から非難の声が上がっている。日本においても、トランプ大統領の政策を懸念する人が非常に多い。

世界中から批判の矛先が向けらているトランプ大統領だが、日本はどうなのだろうか?

こんなにひどい自民党と安倍政権

残念ながら、トランプ大統領を強く批判できるほど、日本は自由や人権が尊重されている一流先進国とは言えない

「日本ひどすぎ」と思う部分のうち、トランプ大統領の言動と似通っている部分をピックアップしてみよう。

  • 政府を批判する真っ当なデモと悪質なヘイトスピーチを同一視*1
  • 昨年(2016年)春、政府に批判的なニュースキャスター3人がほぼ同時降板*2*3*4。報道の自由度ランキングは、民主党政権時代の11位(2010年)から年々下がって2016年は72位*5
  • 安倍首相に近い自民党の若手議員が「経団連に働きかけてマスコミを懲らしめよう」と発言*6
  • 石原慎太郎前都知事は、「有害なのはババア」*7「三国人」「犯罪を犯す民族的DNA」*8など女性差別・人種差別発言を繰り返しながら4回も当選。
  • 厚生労働大臣(当時)が、自民党県議の集会で「女性は産む機械」と発言*9
  • 選択制夫婦別姓は未だに認められていない。(国連の女性差別撤廃委が勧告*10)
  • 女性管理職の割合は低く*11*12、賃金格差も大きい*13。(女性が輝く???)
  • 軽微な事件であっても、警察が被疑者を拷問して自白を得ようとするため、冤罪が後を絶たない。(国連の拷問禁止委が勧告*14)
  • NHKの籾井勝人前会長が就任会見で「政府が〝右〟というものを〝左〟とは言うわけにはいかない」と発言*15*16
  • 5000人の難民申請に対して、認められたのはわずか11人。*17 (2015年は7586人の難民申請に対して、27人認定*18) 劣悪な入管の施設に長期間収容されている人も少なくない*19*20

枚挙に暇がない。これが日本である。安倍首相は、トランプ大統領の入国禁止令についてのコメントを差し控えたが、仮にトランプ大統領を批判したら、世界中から「お前が言うな」と冷ややかな視線を浴びせられただろう。

さらに、民主主義という側面では、日本はアメリカよりも遙かに劣っている

安倍政治と言論統制 (テレビ現場からの告発!)

安倍政治と言論統制 (テレビ現場からの告発!)

堅牢な民主国家・アメリカ、脆弱な民主国家・日本

アメリカの民主主義は非常に堅牢であり、三権分立がよく機能している。「第四の権力」と呼ばれるマスコミの権力監視も非常に強い。大統領令は確かに強力だが、議会は対抗法案を出したり、連邦裁判所が差し止めたりして、大統領の暴走を歯止めをかけることができる。早速、連邦裁判所は、イスラム教国の国民の入国を禁止する大統領令を一部無効にする判断を下した。さらに、今後、議会の対立が深まれば、弾劾されることもあり得る。(海外メディアでは、トランプ大統領の弾劾を予想する記事*21もある)

トランプ大統領が自身の人気番組で言い放つ"You're fired"(お前はクビだ)がアメリカで流行語になったこともあるが、国民からクビを宣告される日もそう遠くないかもしれないのだ。

他方、日本はどうか。日本の民主主義はトタン屋根のように脆い。ちょっとした弾みで簡単に崩れ落ちる。三権分立どころか「三権癒着」だ。メディアの権力監視も極めて弱い。お上が「右と言ったら右」なのが日本なのである。

暴走列車に例えれば、ブレーキが付いているのがアメリカ、ブレーキが壊れているのが日本だ。前者は止める術があるが、後者は脱線転覆するまで止められない。(ここでいう「ブレーキ」とは、権力を縛る憲法であり、権力を見張るメディアであり、主権者たる私たち国民である)

日本の最高裁に期待するのは間違いということだけは言っておく。一昨年(2015年)に可決成立した安保法制は、憲法学者の大半が違憲であると指摘している。違憲訴訟が行われているが、最高裁は、統治行為論を理由に憲法判断を避ける可能性が高い。法令審査権を持つ最高裁判所は「憲法の番人」と言われているが、実際は「権力の番犬」である。

絶望の裁判所 (講談社現代新書)

絶望の裁判所 (講談社現代新書)

安倍首相は「法の支配」「民主主義」でんでんと利いた風なことを言っているが、最高法規である憲法を無視して何が「法の支配」なのだろうか。国民の声を無視し、不都合なメディアを弾圧して何が「民主主義」なのだろうか。こんな口先だけの狡猾な人間が私たちの首相だなんて、世界の恥、いや、世界にとっての危機以外の何物でもない。ティアマト彗星でも落ちて消滅して、来来来世ぐらいに生まれ変わってくれないかなと思う。

♪でんでん無視無視 憲法無視 お前の真意はどこにある〜

トランプの振り見て日本の振り直せ

「人の振り見て我が振り直せ」ということわざがある。トランプ大統領の言動や政策を見て「ひどい」と思うなら、私たちの国である日本の政治(特に安倍政権)についても、見直してみるべきだ。安倍首相には、トランプ大統領のような過激さこそ見られない。しかし、その根底にあるどす黒いものは、トランプ大統領のそれと共通する。安倍晋三は、マイルドヤンキーならぬマイルドトランプといったところだろう。

♪カントリーロード どこまでも 嘘をつき 民だまし〜

もし、安倍首相とトランプ大統領が、夢の中で身体が入れ替わったとしても、(言葉や前提知識を抜きにして)することは大して変わらないだろう。それどころか、蜜月になりそう。来月10日の首脳会談で、手を繋ぎながら歩き、熱いキスでもしたらいい。品がない極右のネトウヨ首脳同士で気が合うだろうから*22

オバマ前大統領の退任演説より。

我々一人ひとりが、民主主義を「懸念する、嫉妬深い番人」たるべきであり、このすばらしい祖国をよりよいものにしようと常に務めるという、喜びに満ちた使命を担うべきです。我々の外見はすべて異なりますが、「市民」という誇らかな肩書を共有しています。

究極的には、これが、我々の民主主義が要求することなのです。民主主義は、あなたを必要としているのです。それは、選挙がある時のみではありません。あなたの権利が侵害された時のみでもありません。あなたの生涯においてです。

もし、あなたが、インターネットで見知らぬ他人と議論することに疲れたなら、実際の生活で、他者と会話してみてください。…(略)…

他人がなにかよいことをやってくれるだろうと期待するのには、リスクが伴い、プロセスにがっかりすることがあるかもしれません。

[生声CD&電子書籍版付き] オバマ退任演説

[生声CD&電子書籍版付き] オバマ退任演説

*1:自民党、国会デモの規制を検討「仕事にならない」 ヘイトスピーチPTが議論

*2:安倍首相、メディアに口封じ? 政権批判のキャスター3人が同時降板 | 中央日報

*3:政権圧力はあったのか? 古舘伊知郎ら降板キャスター「最後の発言」 - まぐまぐニュース!

*4:Japanese TV anchors lose their jobs amid claims of political pressure | World news | The Guardian

*5:報道の自由度、日本は72位 国際NGO「問題がある」:朝日新聞デジタル

*6:大西英男議員「報道機関を懲らしめる」またやった 再び問題発言

*7:2002年石原都知事の「ババア発言」を女性131人が提訴:日経ウーマンオンライン【働く女性の40年史】

*8:『産経新聞』2001年5月8日

*9:2007年柳澤厚生労働大臣「女性は産む機械」発言:日経ウーマンオンライン【働く女性の40年史】

*10:東京新聞:夫婦同姓など「差別的」 国連委、日本に改正勧告:政治(TOKYO Web)

*11:企業の女性管理職比率、6.6% 政府目標遠く :日本経済新聞

*12:【女性管理職ランキング】日本は中国以下の96位 フィリピンはトップ10入り

*13:男女間の給料格差、日本は世界でワースト3位にランクイン - まぐまぐニュース!

*14:国連拷問禁止委員会が日本に勧告 | ヒューライツ大阪

*15:賠償提訴:「NHK経営委が会長罷免しない…放送法違反」 - 毎日新聞

*16:東京新聞:NHK会長 権力との距離を保って:社説・コラム(TOKYO Web)

*17:「お金は出すが…」日本の少ない難民受け入れに海外から批判「責任を直視せよ」とも | NewSphere

*18:法務省:平成27年における難民認定者数等について (速報値)

*19:難民 日本難民 入管収容所の外国人の待遇 - YouTube

*20:働いたら収容所、帰国したら拷問〜〜謎のイラン人、ジャマルさんは難病で難民!! の巻(その2)‐雨宮処凛がゆく! | マガジン9

*21:Donald Trump ‘highly likely’ to face impeachment within first 18 months as US President, expert warns | The Independent

*22:安倍首相とトランプ氏、相性バッチリ? 米機関が分析:朝日新聞デジタル

耳をすませば、怨嗟の声が聞こえる—♪カントリーロード この道 ずっと 行けば…😱

人生 雑感 海外脱出 社会問題 自民党

昨週放映された『千と千尋の神隠し』に続き、今夜(2017年1月27日午後9時)は『耳をすませば』(近藤喜文監督/宮崎駿脚本)が放映される。

この作品がテレビ放映されるたびに、ネット上では「鬱になった」「死にたい」といった怨嗟の声が吹き荒れる。「鬱アニメ」「耳をすませば症候群」なんて言葉もあるほどだ。おそらく、パッとしなかった自分の中高生時代と比べてしまい、憂鬱な気分になるのだろう。たとえ、中高生時代に良い思い出がなくても、今が幸せならそれでよいだが、そうでないところを見ていると……。

私に言えることは1つ。—行動を起こそう!

耳をすませば [DVD]

耳をすませば [DVD]

♪カントリーロード この道 ずっと 行けば…

この映画の主題歌は、「カントリーロード」(Take Me Home, Country Roads)である。『耳をすませば』のプロローグはオリジナル(英語版)のままだが、エンディングの歌詞は変えられていて、

カントリーロード この道 ずっと 行けば
あの街に 続いてる 気がする カントリーロード
ひとりぼっち 恐れずに 生きようと 夢みてた
さみしさ 押し込めて 強い自分を 守っていこう
(略)
カントリーロード 明日は いつもの僕さ
帰りたい 帰れない さよなら カントリーロード

のようになっている。

この作品が公開されたのは1996年であるが、歌詞を見ていると、ジブリは日本の行く末を知っていたのではないかと思うほど、現在の日本人の姿とそっくり重なる。(「ひとりぼっち」「さみしさ」「帰りたい帰れない」)

安倍晋三首相のカントリーロードは亡国街道

この道を。力強く、前へ安倍晋三首相は、「この道を。力強く、前へ」でんでんなどと言っているが、この道をずっと行って続いているのは、過労死・少子高齢化・介護難民・人口減・自治体消滅・孤独死・生涯未婚・貧困…etc、つまり、日本の破局である。オリジナルの歌詞では、"Almost Heaven"(ほとんど天国)というくだりがあるが、私にしてみれば、日本の現状は"Almost Hell"(ほとんど地獄)である。このまま人口減が続けば、"Absolutely Hell"(本当の地獄)になるだろう。

安倍首相や日本会議が唱える、「美しい国」(うつくしいくに)を逆から読むと、「憎いし苦痛」(にくいしくつう)になるのだが、どうしようもないほど憎くて苦痛な国になっていくのだ。「一億総活躍」を旗印に奴隷のように死ぬまで働くことを余儀なくされ、弱者は「自己責任」と切り捨てられ、年金はもらえず、結婚もできず、孤独にうちひしがれ…。

そう、自民党・安倍晋三ロードは、正に地獄の一丁目への道—亡国街道だ。

帰ることができる故郷がなくなっていく

「カントリーロード」(Take Me Home, Country Roads)の日本語タイトルは、「故郷に帰りたい」だ。このままだと、かつての故郷はなくなっていく可能性が高い

毎日のように使っていた鉄道は廃線になり、住み慣れた町は空き家だらけになり、商店はシャッターを閉じ、学び舎は統廃合で廃校と化し、道路はひび割れ…、のようになっているのではないかと予想する。残念であるし、想像したくないのだが、人口が減るとはこういうことだ。映画の舞台となった聖蹟桜ヶ丘でも、少子高齢化が進んでいるという*1

東京ではないのだが、高度成長期のニュータウンに私の家族と話すと「救急車のサイレンを聞く回数が増えた」「電車の乗客が少なくなった」と言われる。自治体のサイトを見てみると、いつしか「移住者歓迎」という特設ページができていた。

過ぎ去りし時を嘆くより、未だ来ぬ時を信じ、行動を起こそう

映画を見て、自分の過去と対比して、ブルーな気分になってしまう気持ちは分かる。しかし、時計の針を戻して、青春時代をやり直すことはできない。私たちにあるのは、未来だけだ。だから、未来を信じて行動を起こすしかない。「もう遅い」「手遅れだ」なんて言わずに。もし、あなたが今30歳で、15歳の頃からやり直したいと思っているならば、45歳のあなたが、30歳の頃からやり直したいと願って、30歳に戻ったつもりで。

どのように行動をするのか?—ある人は地方移住を推している、ある人は海外脱出を推している、ある人は起業を推している。親は、「頑張ればいつかは上の人に認めてもらえて正社員になれる」「結婚するなら大企業や官公庁勤めの安定した人となさい」と言っているかもしれない。—こればかりは、正しい答えはない。(私は海外脱出を推しているが、万人に当てはまる解決策だとは思っていない)

昨年末の記事でも書いたが、時代の潮流、自分がやりたいことと自分にできそうなことを見極め、自分にとって少しでもプラスになりそうな生き方を模索していく以外にない。映画のようにうまくいかないかもしれないし、その可能性の方が高い。それでも前に進んでいくしかない

私の中学時代を振り返ると、お世辞にも充実していたとは言い難いものだった。公民の教科書に載っていた通勤客らでごった返す山手線の写真を見たり、巻尾の日本国憲法と現実の乖離に嘆いたりしたことが印象に残っている。そして、「何でサラリーマンなんかになんなきゃいけないんだろう」と疑問を抱きながら、地図帳を開いては、「将来は海外に出たいなぁ」と見知らぬ土地への思いをはせていた。

私の海外脱出は、誰から提案されたわけでもない。自分で選び、自分で決めた。

あなたは?

日本がヤバイではなく、世界がオモシロイから僕らは動く。

日本がヤバイではなく、世界がオモシロイから僕らは動く。

▲kidle Unlimited対象本(2017/01/27現在) 日本がヤバいのは事実なんだけど、世界に目を向けてみよう

『千と千尋の神隠し』に見るカオナシと化した現代日本人

人生 雑感

今夜(2017年1月19日午後9時)、日テレ系で宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』が放映される。

この作品が劇場公開されたのは、新世紀の余韻がさめやらぬ2001年夏である。当時は、今のようなスマホはなく、まだ機能が低いガラケー最盛だった。光回線やADSLなどの高速通信も普及しておらず、PCを使ってネットを使う層も限られていた時代だ。政治の世界では、小泉純一郎が首相の座について間もない頃だ。

当時はまだ、リア充・ぼっち・炎上・引きこもり・ニート・ブラック企業といった言葉は存在しなかった。言葉の指すものはあったにせよ、今ほどに可視化されていなかったのだ。

宮崎駿監督は、そんな時代に、まるで予言していたかのように、日本人の本質を見抜き、アニメ映画という形で寓意を込めて送り出した。『千と千尋の神隠し』のテーマこそ少女の成長だが、その背景には、アイデンティティーを喪失した若者や、汚い大人たちの姿がある。そういったものがあるからこそ、千尋の成長がより際だって見える。

湯婆婆に見るブラック企業経営者とエゴ親

湯婆婆は、油屋の経営者としての側面と、坊の母親としての側面の2つの側面がある。

経営者としては、がめつく、そして冷酷だ。傷ついたハクを「もうその子はもう使い物にならないよ」と容赦なくシューターに落として殺そうとしているところからも、その冷酷さがうかがい知れる。従業員を酷使し、過労死や過労自殺がでることをいとわないブラック企業経営者とそっくりである。

その反面、息子である坊に対してはすこぶる甘い。ばい菌がいるからと外に出そうとしない。(「こんなところにいた方が病気になるよ」と千尋に言われる) ネズミに変えられた本物の坊にも、坊の偽者にも気付かない。坊の方も、湯婆婆と銭婆の区別が付かない。(物語の最終盤において、千尋はこれらと対比するかのように、ブタの中に両親がいないことを見破る) 終盤に坊が一人で立っている姿を見て驚く。独り立ちさせるべきで子を、いつまでもぬくぬくとした部屋に留め置き、子もそういう環境に甘える。子離れできない親、親離れできない子。現代の親の姿、子の姿と重なる。

※ 子供が自立できない要因の1つとして、格差拡大が挙げられる。格差が拡大しているのは事実だが、昨今の日本を見ていると、モンスターペアレントやエゴイズム(他人に不寛容)な親は確実に増えている。初詣ベビーカー自粛騒動はその一例だろう。

カオナシという日本人

作中にカオナシという印象的なキャラクターが出てくる。最初は非常に大人しいのだが、人や物を飲み込み続けるうちに醜い化け物へと変貌し、手が付けられなくなる。

カオナシ(顔無し)という名前、金で他人の心を操ろうとする、他人を取り込まなければしゃべれない、皆からちやほやされて傲慢に振る舞う、思い通りにならなければすぐにキレる、そして……ひとりぼっちで居場所を求めている。千尋から「おうちはどこなの?」「家族はいないの?」と言われた時、図星を指されたかのように「いやだ、いやだ」「さみしい、さみしい」と言いながら取り乱している。

宮崎駿監督も言っているように、日本人の姿そのものだなぁと私は思った。

金を払っている方が偉いと言わんばかりに傲慢に振る舞う客、気に入らないことがあれば瞬間湯沸かし器のごとく炎上させるネット民、「名無し」に代表される匿名という仮面をかぶった人、「リア充」「ぼっち」など孤独を連想させる言葉、自分の言葉ではなく他人の言葉ばかりを集めたまとめサイトが蔓延しているネット…などを見ていると。

私たちは不思議の町へ迷い込んでいる

今の日本を見ていると、多くの人が不思議の町へ迷い込み、そこでアイデンティティーを失い、元の世界に戻れない状態が続いているように思う。

この物語の鍵となるのが名前だ。名前を忘れると元の世界に戻れなくなるという設定がある。名前とは、その人を表すアイデンティティーである。顔もまた、その人を表すアイデンティティーである。名前を奪われる、顔が無いというのは、その人のアイデンティティーが無いに等しい。

自分が何者であるのかを、当の自分自身がよく分かっていない。自分はどういう人間なのか、自分はどういう人生を送りたいのか、自分がいるべき場所はどこなのか、自分にとって幸せとは何か、自分に何ができるのか……。そういったことを見失っており、ただ何となく生きているだけ。そんな人が少なくないように感じる。

興行収入300億円が語るもの

『千と千尋の神隠し』は国内興行収入300億円を突破した唯一の作品だ。この額は、他の宮崎駿監督作品と比較してもずば抜けて高い。そして、昨年のスタジオジブリ総選挙では第1位に選ばれた。劇場公開から16年経った今なお、色あせた感じがしない。この裏には、多くの日本人の心に刺さるものがあったからであろう。

他のジブリ作品と同様、この作品はテレビでも幾度となく放映されている。ストーリーはほとんどの人が知っているだろう。これからテレビで観る人がいれば、作品に込められたメッセージ性を感じながら、自分がカオナシになっていないか、湯婆婆になっていないかを、名前を奪われたままになっていないかを見つめ直す機会なのではないかと思う。

千と千尋の神隠し [DVD]

千と千尋の神隠し [DVD]

このブログをはてなブックマークに追加  

©2017 だから僕は海外に出る、さあ君も by 佐野由自