ネットユーザーは、大きく2種類に分けられる。「ネットで消耗する人」と「ネットを活用する人」である。
ネットで消耗するネット依存症の人たち
「ネットで消耗する人」とは、暇さえあれば、ネットに何時間も何時間を費やしながら、そのネットでしていることが大したことでない人たちだ。
例を挙げよう。
- Youtubeやニコ動で面白い動画を見つけた。見終えたら「こちらもおすすめ」と関連動画や続きが表示される。気付いたら、夜もかなり更けていた。「ドラマの1クール、半日で見終えたよ」とSNSに投稿するような人。
- 「オレは、はてブや2chまとめのチェックを怠らない情報強者だぜ」と思っている。ライフハックを読んで「これいいわ〜」とタグを付けてブックマークする。気が付けば、ブックマーク数が千を超えていた。そのページを再び開いて、生活や仕事で生かすことはほぼない人。
- 掲示板で「論破してやったぜ! オレたち大勝利! ガハハ」と勝ち誇っている人。論破といっても、数の多さで押し切ったか、人格攻撃や揚足取りばかりで相手が嫌になって退散しただけのケースが多い。
- 被害者でもないのに、おふざけが過ぎた他人のブログやSNSを炎上させて、それが正義だと思い込んでいるイタい人。挙げ句の果てに、スポンサーや取引先まで抗議する迷惑な人。
- 普通に話せば10分で終わるような会話を、1行+スタンプで1時間をかけてやり取り。既読スルー(KS)されるのを恐れ、止めどきが分からず、1日5時間も6時間も過ごす人。
- 学歴でも国籍でも恋愛経験でも何でもいいので、とにかく自分たちより下の者を見つけ出しては、彼らを軽蔑・嘲笑することで、独り善がりな優越感に浸っている人。
- 日本に少しでも批判的な人に対して、「反日」「左翼」「売国奴」と執拗にバッシングする自称「愛国者」の人。
- 人口減・格差・貧困・財政赤字などの日本に悲観的なニュースに、「日本もうだめだー」「政治家は何やってんだよ」「○○すべきだよ」と嘆きながら、ネット上での発言に終始し、自らは行動を起こそうとしない人。
- 匿名掲示板で、「平成生まれが知らないものを挙げていくスレ」「マクドナルドの新商品が旨すぎる件について」といった書き込みを延々としている人。
- クリスマスやバレンタインの度に「リア充爆発しろ」「バレンタイン終了」などと怨嗟の声を上げるけど、積極的にパートナーを見つけようとしない人。
……きりがないので、このぐらいにしておこう。
今ウェブは退化中ですが、何か? クリック無間地獄に落ちた人々 (講談社BIZ)
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ネットで消耗している人は、自分の人生も消耗している
ここで挙げたようなネットの使い方は、さほど生産的ではない。もちろん、人間は常に生産的なことばかりしているわけではない。たまには息抜きが必要だ。それを含めても、こういうことに非常に多くの時間を費やしている人を見ていると、「消耗しているなぁ」と思わずにはいられない。
私は、ネットで消耗している人たちは、
先週も、先月も、昨年も、5年前も、今と同じように、パソコン・スマホの前で消耗していたことだろう。
来週も、来月も、来年も、5年後も、今と同じように、パソコン・スマホの前で消耗していることだろう。
と思う。その結果、減ったのは自分の残り寿命と髪の毛とお金、増えたのは脂肪と小じわと白髪だけ。
パソコンやスマホのバッテリーは、充電すれば回復するが、人生の時間は回復しない。まさに消耗である。
消耗しないために
「あ、オレのことだ」と思った人は、時間の過ごし方をちょっとだけ見直してみようよ。
私は、なにも「ネットは時間の無駄だからやめよう」と言っているわけではない。使い方と時間にメリハリを付けて「ネットを活用する人」になろうと言っているのである。
プライベート時間の過ごし方なら、もっと有意義で健康的なことがいくらでもある。
例えば、
- 読書をする (薄っぺらいネット情報では得られない情報の宝庫)
- 映画鑑賞をする (有名作品だけでなく、インディーズ系の隠れた名作を探す)
- スポーツをする (地元のスポーツサークルに参加してみる)
- 芸術的なことをする (スケッチ、楽器演奏、ミュージアム巡りなど)
- 勉強する (受験勉強ではなく、深い教養を身につけるための勉強)
- 語学を学ぶ (英語を身につけることで新しい世界が開ける)
- より高度なIT活用に挑戦してみる (Photoshopを覚える、プログラミングに挑戦)
- ボランティアをする
- 日帰りぶらり旅や貧乏旅行をしてみる (LCC・格安バス・18きっぷを使えば安く済む)
- 習いごとを始める
- 恋愛する
といった具合だ。
その過程においてネットを使うことは何ら問題ない。パートナーを見つけるために信頼ある出会い系サイトを使う、スポーツするために地元のサークルをネットで探してみる、アイディアを形にするためにクラウドファンディングを使う、旅行のプランを立てるために時刻表を検索する—こういった使い方こそが「ネットを活用している」と言えるだろう。
「一日一日を大切にしよう」といった格言をシェアしながら、毎日ネットで消耗して過ごしている日々は、今日でピリオドを打とう。
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