最近、「みのもんた」の周りが騒がしい。みのもんたの次男が逮捕されたことで、世間の目が次男よりも、みのもんたに集中している。デイリースポーツには「謝罪なし」と見出しにあったが、まるで謝罪するのが当然であるかのような書き方だ。今回のエントリーは、みのもんたに関係なく「犯罪加害者家族の責任」にスポットを当てて書いた。
共犯でも教唆でもないのに「家族」というだけで責める日本
2010年4月にNHKクローズアップ現代で『犯罪“加害者” 家族たちの告白』という犯罪加害者の家族の置かれた悲惨な状況を追った番組が放送された。放映時の動画全編は非公認サイトであるが、http://www.pideo.net/video/pandora/1350d212e71126fe/ で見ることができる。
“加害者”家族の現実 失われる日常、自殺、退職、執拗な脅迫…広く親戚にまで影響 (2013/05/26 ビジネスジャーナル)
日本では、世間を騒がせる犯罪が起きた場合、加害者本人はもとより、その家族や親戚までが世間から白い目で見られる。マスコミが執拗に加害者家族を追い回して謝罪を求めるかのような取材を行い、一般人が彼らを差別・非難や嫌がらせをするのである。その結果、自殺に追い込まれたケースも存在する。言うまでもなく、共犯・教唆でもない限り、家族に法的責任はない。
これは日本のほか、一部のアジア諸国にもあることだが、欧米ではありえない。なぜ加害者本人だけでなく、その家族や何の関係もない親戚まで責めるのだろうか?
日本では犯罪加害者の家に抗議や脅迫が殺到。一方アメリカの大量殺人犯の母「私に届いた手紙の大半が励ましでした」 (見えない道場本舗)
連帯責任大好きな日本人は江戸時代の「五人組」の名残か
私は、犯罪加害者がまだ未成年であったり、その家族が共犯であったりしない限り、加害者の家族には何の責任もないし、謝罪する必要もないと思っている。少なくとも欧米人も同じ考え方だ。犯罪を犯したのは犯罪加害者本人であり、家族ではないからだ。家族が咎められる理由はどこにも存在しない。
「産んだ責任がある」「育て方が悪い」という考え方もあろう。しかし、親は、悪い子になるように育てたわけでもない。それに、人格形成は、家庭環境だけでなく、学校環境や社会環境も大きく影響する。百歩譲って、人格を歪めるような異常な家庭環境であったとしても、彼らの兄弟や親戚まで責めるのはお門違いだ。
「連帯責任を課すことで、相互監視が働く。自分ひとりの行為によって、家族や親戚にまで責任が問われるとなると、犯罪の抑止力が働く」という主張もあろう。確かにそれはあるかもしれないが、基本的人権をまったく無視しており、近代法とも合致しない非人道的な考え方だ。もし、日本人の多くがこういう考え方を持っているなら、私は薄ら寒さを感じずにはいられない。
- 出版社/メーカー: 日活
- 発売日: 2007/04/27
- メディア: DVD
- クリック: 107回
- この商品を含むブログ (172件) を見る
一社員の業務外の犯罪でも会社全体の責任として扱われる
本人以外の責任が問われるのは、家族だけではない。会社や学校も同様だ。特に有名企業の社員が犯罪を犯すと、それが業務と無関係であっても、マスコミは個人名よりも会社名を優先して報道する。「○○社員を盗撮で逮捕」と言った具合だ。そして、会社の上層部が頭を下げる姿を報道する。ここで「社員のプライベートなので…」と釈明しようものなら、総バッシングを浴びることは必至である。
業務に関連した犯罪ならば、会社名を報道するのは当然といえよう。しかし、会社はプライベートまでは関知しようがない。どうしろと言うのか?朝礼で、大の大人を相手に「痴漢や盗撮はいけませんよ」「飲酒運転はやめましょう」と訓示をするのか?「痴漢盗撮はしません」と毎朝、唱和でもさせるのか?それとも、「カンパニーポリス」なるものでも雇って、社員を四六時中監視しろと言うのか?バカバカしいにもほどがある。
先進国なのに封建時代で思考停止している日本人
最後に、みのもんたの問題に戻すが、これこそ‘Spot on!’という記事を見つけたので引用しておこう。
今回の件で罪を問われるべきは、「みのもんた」でも、「日本テレビ」でもない。御法川雄斗という31歳の大人1人だ。もし容疑が事実だと認定されれば彼は司法的な制裁を受け、おそらくは懲戒解雇されて無職になるという社会的な制裁も受けるのだ。それで十分ではないのか。
日テレ社員だから?みのもんたの息子だから?それ、関係ないでしょう。(水島宏明) (個人 - Yahoo!ニュース)
重大事件が起こるたびに、マスコミが犯罪加害者の家族に事件の責任を問うような取材攻勢をかけ、一般人が嫌がらせをする。私は、これを極めて封建的な悪習と思っている。日本人よ、いい加減に進歩しようではないか。
- 作者: 鈴木伸元
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2010/11/27
- メディア: 新書
- 購入: 12人 クリック: 200回
- この商品を含むブログ (27件) を見る