不安定な非正規雇用、正規雇用であっても低所得者層が増えた。それに合わせるかのように、結婚できない人が増えている。
婚活女性の男性に望む年収は500万円以上
日本では、「男は仕事、女は家庭」に代表される男尊女卑の風潮が根強い。そのため、多くの女性は結婚や出産を機に退職を余儀なくされ、その後は低賃金のパートタイマーにならざるを得ない。
子育てには、1,500〜3,000万円もの費用がかかる。子供1人を18歳まで扶養すると、1年あたり100万円を超える計算だ。生活費も考慮すると、結婚生活を送るのに最低限必要な費用は年400万円はかかる。女性が、安定したそこそこの収入がある男性との結婚を望むのは当然と言えよう。
ところが、結婚適齢期の男性で、女性が望むような年収500万円を超える人の割合は低い。このことが、男女ともに「結婚したくてもできない」という深刻な状況を生み出している。
今や“三平女子”の希望年収さえ満たせる男はなし!?婚活女性の平均感覚が現実とズレまくる本当の理由|「ロス婚」漂流記~なぜ結婚に夢も希望も持てないのか? (ダイヤモンド・オンライン)
私は、女が男に経済的に依存せざるを得ない日本社会そのものがおかしいと思う。しかし、そうはいかないのが日本社会である。
履歴書にある扶養家族数が「1」以上でほぼ自動的に不採用
どれだけいい大学を出ていても、どれだけいいキャリアを持っていても、履歴書に書かれている性別が女性で、扶養家族数が「1」以上である時点で、正社員の募集であれば、自動的に不採用になるのが日本社会である。
運良く、面接までたどり着けたとしても、「お子様がいらっしゃるようですが、お子様が熱を出した時はどうされますか?」と聞かれ、「お休みをいただきたいと思っております」と答えた時点で戦力外ランプが点灯し不採用、「実家が近いので、両親に面倒を見てもらいます」「夫が主夫なので、夫が面倒を見てくれます」と答えればセーフ。実際、私の周りでも「小さな子供がいる」という理由で採用してくれないケースは数多く聞く。
「子持ち 迷惑」でググってみると……。これが日本の現実。ハァ。(ため息)
子供を持つと否が応でも仕事を優先できないときがある
子供を持つと、仕事も生活も、否が応でも子供に影響を受けるようになる。子供は大人よりも抵抗力が弱いため病気にかかりやすい。やんちゃな子供であれば、遊んでいて怪我をしたり、トラブルを起こして学校に呼び出されたりすることもあるだろう。加えて、学校では、運動会、学芸会、PTAや三者面談など様々なイベントがある。子供が熱を出せば病院に連れて行き、親が学校から呼び出されれば行かなければいけない。このように、子供のことを優先せざるを得なくなることは多々ある。
多くの会社は、いつ休むか分からない子持ちの女性を要職には採用したがらない。従って、彼女たちが働けるのは、休んでも影響が少ない単純労働のパートタイムの職場が中心となる。
海外では、こう言うときは「お互い様」だ。会社の側も、社員が休むことを前提にして、突発的な休みが発生しても、極力業務には支障がでないようにしている。故に有給消化率も非常に高い。
「仕事を優先できない=戦力外」と見なす日本社会が女性の社会進出を阻む
私は、日本の「休むこと=悪」と見なす考え方に加えて、「男は仕事、女は家庭」という保守的な考え方が、日本の男女共同参画社会の実現を阻んでいると思う。就活中の大学生の女性の7割が、結婚後の共働きを希望している*1のとは裏腹に。
よく「育児と仕事は両立できない」と聞く。これは、育児を妻の仕事と決めつけているからではないだろうか。育児を含めて、家庭というものは、妻だけではなく、夫婦が2人で協力し合って維持していくものである。仕事でも同じではないだろうか。女性も男性と同じように、産後もキャリアを生かして働けばよいではないか。もし、妻に重要な仕事と、子供の病気が重なれば、夫の方が会社を休むのもありだろう。
日本社会が休むことに寛容になり、ワークライフバランスが取れた生活が普通になれば、結果として既婚未婚を問わず女性の社会進出は増える。女が男に経済的に依存する必要もなくなる。たとえ年収250万円の低所得者層とされる人でも、夫婦双方がフルタイムで働けばダブルインカムで、世帯年収は500万円になる。それだけあれば、裕福とまではいかなくても、結婚生活を営むことができる。その上で、政府は様々な子育て支援策を講じていくべきだろう。
そうなれば、収入を基準に相手を探す「婚活」はなくなり、非婚化問題にも解決の道筋が見えてくる。
実現には、日本人の労働に対する意識改革が不可欠だ。マタハラという妊娠中の女性に対する嫌がらせがある現実を考慮すると、道のりは遠そうである。
- 作者: 本田一成
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