だから僕は海外に出る、さあ君も

「日本って何か変だなぁ」という疑問を胸に、思い切って海外脱出した著者が、海外からの視点で日本の社会問題や海外脱出アドバイスを綴るブログ。日本の奴隷的な長時間労働にうんざりしている人、ナショナリズム台頭・人口減・財政難の日本の行く末を危惧している人、協調性という名の同調圧力に耐えられない人、とにかく自分の殻を破ろうと思っている人、そんなあなたに『海外に出ること』を選択肢の1つとして提案する。

だから僕は海外に出る、さあ君も - ニートのガラパゴス日本脱出日記

ガラパゴス化している日本の奴隷的な労働環境と保守的な社会構造に適応できずに海外脱出したニートが海外視点で綴るブログ

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女性専用車両の何が問題か?

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先週金曜日(2018年2月16日)、東京メトロ千代田線で、女性専用車両をめぐって一悶着があった。

※ 女性専用車両に反対する男性が女性専用車両に乗り込み、トラブルが発生することは以前からたまにあったが、今回は朝日新聞が記事にしたことで議論を巻き起こした。

女性専用車両

「女性専用車両」と聞くと、男性は乗れないと思われがちだが、法律上の根拠はない。法の下の平等を定めた憲法に抵触するからである。そのため、鉄道事業者としては「お願い」するしかない。*1

私が女性専用車両に反対する3つの理由

私は、以下の3つの理由により「女性専用車両」には反対する。

① 女性専用車両は性差別

「差別」の定義は、性別、肌の色、出身地、性的指向・性自認(LGBT)、国籍など能動的に変えられない属性に対して、不利益な扱いをすることである。その定義に当てはめれば、女性専用車両は、男性であることだけを理由に、性犯罪者予備軍や不快な存在として特定の車両から実質的に排除しているのだから、明白な差別である。どんな詭弁を弄しようが差別は差別だ。

鉄道営業法34条では「婦人ノ為ニ設ケタル待合室及車室等ニ男子妄ニ立入リタルトキ」は科料を科すと定められている(現憲法下では無効)が、法的根拠のない「お願い」しかできない時点で、鉄道事業者自体が男女平等に反する(=男性差別)ことを事実上認めてしまっている。

② 女性専用車両は男性客の利便性を大きく損う

エスカレーターや階段でホームに上がった場所に女性専用車両が位置していると、それを避けるため、男性は一車両分(約20メートル)歩かなければならない。発車間際であれば乗り遅れることもあるだろうし、駆け込み乗車しようとして人とぶつかってしまうこともあるかもしれない。また、お年寄りや身体の不自由な人にとっては、わずか一車両分の移動すら困難な場合がある。

※ 鉄道事業者は身体の不自由な男性も乗れることを周知しているが、身体が不自由かどうかは外見からは分からない人もいる。移動に困難を来す人が必ずしも障害者であるとは限らない。

③ 女性専用車両は痴漢対策になっていない

女性専用車両は痴漢対策として導入されたが、痴漢対策に何ら寄与していない。女性専用車両によって、痴漢の発生件数が増えることはあっても、減ることはない。

痴漢の発生する時間帯は、平日朝ラッシュ時が突出している。痴漢は逮捕されることを最も恐れているので、混雑が激しければ激しいほど好都合である。実際、女性専用車両を写した動画や画像を見てみると、女性専用車両とその隣の車両で混雑率に大きな差があることが分かる。結局、女性専用車両は、他の車両の混雑を悪化させ、一般車両に乗る女性が痴漢に遭う確率を増やしているだけである。当然、男性客にとっては、痴漢冤罪に巻き込まれるリスクも増える。

偶数号車は男性、奇数号車は女性といったように完全に男女別にすれば痴漢はほぼなくなるだろう、おおよそ現実的ではない。

※ 女性専用車両導入の前と後では、後の方が痴漢被害が増えたという報道が以前あった。

男が痴漢になる理由

男が痴漢になる理由

「女性専用車両」は痴漢問題解消の「解」ではない

女性専用車両に反対する人が鉄道事業者に抗議すると、「迷惑行為防止のためです」「任意協力なので法律上問題ありません」と言われる。では、痴漢被害に苦しんでいる女性が鉄道事業者に対策を求めて抗議すると、何と言われるのだろうか? 十中八九「女性専用車両を設けておりますので、そちらをご利用ください」と言われるであろう。

ここが問題である。痴漢の存在を鉄道事業者自らが認めてしまっていることになるからだ。

女性専用車両は、首都圏では端っこにあることが多いため、混み合ったホームを女性専用車両の乗車位置まで歩かなければならない。非常に不便である。痴漢に遭いたくない女性を、不便な「女性専用車両」に隔離することが正しいことなのだろうか?

女性は好きな車両に乗り、かつ、痴漢(という名の性犯罪)によって尊厳を犯されない権利があるはずではないか。

同和問題に例えると、行政が「差別されたくないなら引っ越せばいいだろ」と言っているのと同じことだ。私たちには居住の自由(憲法22条)があり、差別を受けない(憲法14条)ことが憲法で定められている。この場合、「移動しろ」というのではなく、差別をなくすのが本筋であろう。

つまるところ、女性専用車両は、男性差別であることはもちろんのこと、痴漢対策にすらなっておらず、「男性がいないこと」自体を売りにした鉄道事業者の女性優遇サービスに他ならない。JRと私鉄との競争が激しい関西の方が、女性専用車両の設置時間帯が長い(終日導入も珍しくない)ことからも明らかだ。

女性専用車両ではなく痴漢問題の根本解決を

女性専用車両は、日本人の大好きなオーベー(欧米)にはない。以前、英国で痴漢対策として女性専用車両導入が提言されたことがあったが、「我々は性別によるアパルトヘイトは望まない」と一蹴された。*2*3 英国を初めとした欧米の鉄道は頻繁に遅れるが、人権意識や男女平等といったものは、日本とは比較にならないほど進んでいる。逆に、日本が未だ先進国と言えるのは、インフラ、技術力と経済力だけと言えるだろう。(その技術力も経済力も急速に落ちている)

日本は、20秒の早発を謝罪するよりも大切なことがあるのではないか。

私たちは、臭いものに蓋をするのではなく、臭いの原因となるものを少しずつ取り除いていくべきである。痴漢(という名の性犯罪)に苦しめられている女性が求めているのは、隔離ではなく、痴漢をなくすことなのだから。そして、そのことは日本の国益にも繋がる。

性犯罪やセクハラは、社会の秩序を乱し、成長の要である外資企業の誘致を阻む重大な社会問題――。そんな認識がシンガポールでは徹底している。「日本は伝統的に均質で男性上位のヒエラルキー社会で、女性が性被害を訴えることを好まない。そうした社会や職場の『普通』に負けないこと」

(@シンガポール) シンガポールから考える被害者重視のセクハラ対策:朝日新聞デジタル

誰も、自分の彼女や娘を、性犯罪が横行している国に行かせたいとは思わないだろう。

英外務省の訪日注意喚起情報サイト(英語)に「通勤電車内での痴漢(chikan)はかなり一般的である」と掲載されている。

女性専用車両のことを外国人に話すと、

  • 「女性専用エスカレーター、女性専用車線、女性専用駐車スペースとかも導入したら(笑)」
  • 「日本って変な国だよね。消費者(お客)としての女性は優遇されてるのに、生産者(労働者)としての女性は信じられないほど冷遇されているのだから。日本の女性はもっと怒った方がいいよ」

と言われた。

ダボス会議を主催する「世界経済フォーラム」が発表した男女格差の度合いを示すジェンダーギャップ指数(2017年)で、日本は世界144カ国中114位となり、過去最低だった前年の111位からさらに後退したそうだ。*4 安倍晋三首相曰く「すべての女性が輝く社会づくり」(笑)

日本の女性がグローバル社会で戦う方法

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©2018 だから僕は海外に出る、さあ君も by 佐野由自