だから僕は海外に出る、さあ君も

「日本って何か変だなぁ」という疑問を胸に、思い切って海外脱出した著者が、海外からの視点で日本の社会問題や海外脱出アドバイスを綴るブログ。日本の奴隷的な長時間労働にうんざりしている人、ナショナリズム台頭・人口減・財政難の日本の行く末を危惧している人、協調性という名の同調圧力に耐えられない人、とにかく自分の殻を破ろうと思っている人、そんなあなたに『海外に出ること』を選択肢の1つとして提案する。

だから僕は海外に出る、さあ君も - ニートのガラパゴス日本脱出日記

ガラパゴス化している日本の奴隷的な労働環境と保守的な社会構造に適応できずに海外脱出したニートが海外視点で綴るブログ

仕事なんかクソだろ? 就活やめて日本を出よう! 奴隷やめて海外に出よう! 語学を学び世界に出よう! 「仕事なんてクソだろ」が売り文句の「ニートの海外就職日記」に影響を受けた、あるニートのブログ

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今の日本の労働環境は200年前の産業革命の頃のヨーロッパ

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今日(5月1日)はメーデーである。世界的な「労働者の日」であり、80以上の国で祝日とされている。日本では祝日にこそなっていないが、各地でイベントが開かれている。メーデーにちなんで、今回のエントリーでは、労働者の権利の背景について触れたい。

労働者の権利は憲法でも保障されている

日本国憲法で労働者について触れられているのは、第27条(勤労の権利と義務、児童の酷使の禁止)と第28条(労働団結権の保証)である。

第27条 すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。
2. 賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。
3. 児童は、これを酷使してはならない。

第28条 勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。

なぜ、最高法規である憲法でまで労働者の権利を保障しているのだろうか?

日本の労働環境は200年前のヨーロッパ!?

外国人の友達に日本の労働環境の話をすると、大抵は「F**king crazy!!」(とち狂ってるよ)といった反応が返ってくるけど、ある一世代上の人からは、次のようなことを言われたことがある。

「日本の労働環境が欧州並になるまで、あと200年はかかるかもしれない。日本の労働環境は、200年前の産業革命が起きた頃の欧州とそっくり重なる」

産業革命は、18世紀半ばに英国で始まり、他のヨーロッパ諸国へ波及した。産業革命当時、労働者の権利は皆無に等しく、労働環境は劣悪を極めていた。働ける者は、児童から大人まで酷使され、彼らは1日あたり14〜15時間にも及ぶ長時間労働を余儀なくされていた。インフラ整備も追いつかず、住環境や衛生状態も悪く、犯罪・貧困・伝染病が蔓延していた。

NHK高校講座 | 世界史 | 第27回 産業革命と社会問題

確かに、整備されたインフラ面を除けば、今日の日本の労働環境とそっくり重なる。労基法無視のブラック企業が跋扈し、労働者はすし詰めの通勤電車に押し込まれ、朝から晩まで馬車馬のように働き、精神的にも肉体的にも疲弊した人が増え、人身事故(という名の電車飛び込み自殺)が毎日のように発生し、ワーキングプアと呼ばれる貧困層が増えている今の日本を見ていると。

豊かさのために豊かさを犠牲にする愚

私は以前、「豊かな生活のために豊かな生活を犠牲にしようキャンペーン実施中(笑)」という皮肉っぽいタイトルのエントリーを書いた。産業革命当時の考え方は、これと同じである。当時の人々は、産業や技術の発達こそが人間を豊かにすると信じ、資本家はそんな市民の要求に応えるかのように、産業を発達させ、利潤を追求していった。資本主義が確立したのは、産業革命がきっかけとされる。産業革命の負の側面とも言えるのが、労働環境の悪化により、人間らしい生活が損なわれたことである。

世界初の産業革命発祥の国である英国で、第二の国歌と呼ばれるほど有名な歌に「エルサレム」がある。その歌詞に、

And was Jerusalem builded here,
Among these dark Satanic Mills?

ここにエルサレム(=極楽)がつくられたのか
こんな暗いサタン(=地獄)のような工場の間に

※ Satan(サタン)は、キリスト教での悪魔。ドラゴンボールでの英雄キャラではない。

という箇所がある。ここで「工場」とは、産業革命のことを指している。

豊かさのためにしていることが、結果として、豊かさを蝕んでいることに気付き、今のヨーロッパは非常にのんびりしている。

歌詞中の“dark Satanic Mills"(悪魔のような工場)を、ブラック企業に置き換えたら、正に今の日本社会そのものである。治安が良くてメシウマ、インフラが整い、生活水準が高い一流先進国なはずなのに、労働環境が地獄というのは、何とも皮肉なことだ。

日本人の労働観は後退しているのだろうか?

メーデー先日、埼玉県の高校教師が自分の子供の入学式を優先して、勤務先の入学式を休んだことに関して、ネット上を中心に、現職の国会議員まで巻き込んだ論争に発展した。(参考エントリー:入学式だろうが通常日だろうが有給休暇取得は労働者の権利) 3月に相鉄がストライキを起こした事例では、「迷惑だ」という声が数多く聞かれた。

労働者が正当な権利を主張することを「論外だ」「迷惑だ」と切り捨てたり、残業代ゼロを合法化しようとしたりする今の日本を見ていると、私は日本人の労働観が後退しているように見えてならない。

労働者の権利だけでなく、その背景にも目を向けてみよう。労働者の団結を描いた『蟹工船』という有名な小説がある。

小林多喜二 蟹工船

小林多喜二 蟹工船

※著作権切れの作品なので、青空文庫から無料ダウンロード可能。(Kindle版は無料)

日本で第1回メーデーが開かれたのは1920年、蟹工船が出版されたのは1929年とかなり昔のことである。100年近い時が経つのに、日本の労働観がさほど変わらないのは、「滅私奉公」という日本の文化や、保守的な国民性ゆえだろう。

今日(5月1日)のメーデーでは、日本各地でイベントが開かれた。しかし、一部の人たちの掛け声だけでは何も変わらない。大切なことは、多くの人たちの意識改革と行動である。

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©2018 だから僕は海外に出る、さあ君も by 佐野由自