だから僕は海外に出る、さあ君も

「日本って何か変だなぁ」という疑問を胸に、思い切って海外脱出した著者が、海外からの視点で日本の社会問題や海外脱出アドバイスを綴るブログ。日本の奴隷的な長時間労働にうんざりしている人、ナショナリズム台頭・人口減・財政難の日本の行く末を危惧している人、協調性という名の同調圧力に耐えられない人、とにかく自分の殻を破ろうと思っている人、そんなあなたに『海外に出ること』を選択肢の1つとして提案する。

だから僕は海外に出る、さあ君も - ニートのガラパゴス日本脱出日記

ガラパゴス化している日本の奴隷的な労働環境と保守的な社会構造に適応できずに海外脱出したニートが海外視点で綴るブログ

仕事なんかクソだろ? 就活やめて日本を出よう! 奴隷やめて海外に出よう! 語学を学び世界に出よう! 「仕事なんてクソだろ」が売り文句の「ニートの海外就職日記」に影響を受けた、あるニートのブログ

労働・サービス残業・ブラック企業・社畜・ワークライフバランス・海外脱出・日本脱出・英語・留学・人生・恋愛・政治・社会・日本・ニート・フリーター・貧困・ネット・IT

憲法記念日—知っておきたい立憲主義と天賦人権説

スポンサー広告

今日(5月3日)は、憲法記念日である。NHKの世論調査によると、改憲必要と不必要の割合は拮抗している。その調査の中で、憲法の基本的な考え方である「立憲主義」をよく知らないと答えた人が51%に上った。

世論調査 憲法改正必要・不必要ほぼ同じ (NHKニュース)

立憲主義とは?

国民の過半数がよく知らないとされる立憲主義とは何だろうか?

りっけん‐しゅぎ【立憲主義】
憲法を制定し、それに従って統治するという政治の在り方。この場合の憲法とは、人権の保障を宣言し、権力分立を原理とする統治機構を定めた憲法を指し、そうでない場合には、外見的立憲主義という。
広辞苑 第六版 ©2008 株式会社岩波書店

うーむ、分かりにくい。平たく言えば、「国民が、国家を縛る法律である『憲法』を作って、憲法の下で統治していこうという仕組み」である。

憲法記念日の今日は、立憲主義が大切な理由を、簡略化して物語風にまとめてみた。

あくまでも簡略化した例え話なので、重箱の隅をほじくるような批判はご容赦いただきたい。

民主主義と立憲主義の生い立ち

大昔に小さな町があった。そこでは、ある者は田畑を耕し、ある者は牛や馬を飼い、ある者は海で魚を捕り、そうやって人々は日々の糧を得ていた。

その町には、市長のようなリーダーもいなければ、法律のように明文化されたルールもなかった。だからといって無法地帯というわけでもなく、人々は各々の理性に従って行動していた。

こういう状態を自然状態と呼ぶ。(英国の哲学者ジョン・ロックの定義)

ところが、人口が増えて町が大きくなり、社会が複雑化してくることで、明文化されたルールがないゆえの問題がでてきた。例えば、土地をめぐる争い、物を盗んだ・盗んでないといったいざこざ、誰が橋や道を造るのか、といったものだ。

そこで、人々は共通ルールが必要であると考え、法律というルールを作った。

この法律を作るところを立法府、この法律に基づいて仕事をする役所のことを行政府、争いごとを法律に基づいて判断する裁判所を司法府という。立法府、行政府と司法府の三権ことをまとめて政府(狭義では行政府を指すこともある)と言う。昔は、現在ほど厳密に立法・行政・司法に分かれていたわけではない。

ここまで読んだあなたは、「なんだ、現在とほとんど変わらないではないか。別に憲法なんて必要ないのではないか」と思うかもしれない。

権力は暴走しやすいもの

人間というものは、そんなに賢い生き物ではない。最初は「世のため、人のため」と高い志を持っていても、権力を握ることで、よこしまな考えを抱くようになった。

権力を握った者が豹変することは、何度も言われてきたことである。それを裏付ける実験の1つが、スタンフォード大学心理学部で行われた監獄実験である。(詳細はリンク先参照)

もし、法律を作っている人たち(支配者)が、自分たちに都合が良い法律ばかりを作ればどうなるだろうか?自分たちに逆らう者は、全員逮捕して処刑する法律を作ることも可能になってしまう。

その結果、政府が暴走して、国民が苦しめられることは、度々起こった。

皮肉なことに、国を良くするために存在するはずの政府が、人々を苦しめるようになってしまった。

現在においても、独裁国家である北朝鮮で、張成沢とその親族までが処刑されたというニュースは記憶に新しいだろう。

天賦人権説と市民革命

フランス革命

やがて人々は、「同じ人間なのに、なぜ政府の奴らはオレ達を苦しめるんだ?」「政府は自分らが権限を持っているのをいいことに好き放題やってる」「人間は生まれながらに自由で平等ではないか」と考えるようになった。

このような「人は生まれながらにして自由で平等」っていう考えを天賦人権説という。読んで字のごとく、人権は天から与えられたものであるとう考え方である。

そこで人々は「今の政府を倒して、オレ達で新しい政府を作ろう」と考え、力を合わせて苦難の末、政府を倒した。

これが(市民)革命である。代表的なのが1789年のフランス革命。フランス人権宣言は、人間の自由と平等、主権在民、言論の自由など17条からなるフランス革命の基本原則を記したもの。憲法制定への第一段階として、憲法制定国民議会によって採択された。

政府を倒した人々は、新しい政府を作るに当たり、「今度は政府が暴走しないように、政府を縛る法律も作ろう」と考えた。

この政府を縛る法律こそが憲法である。国民が憲法を作り、憲法に基づいて統治する仕組みを立憲主義という。

そして、現在に至った。

天賦人権説と立憲主義は、世界共通の価値観

天賦人権説は西欧生まれであるが、今日では世界普遍の価値観になっている。各国の憲法を見てみよう。

いずれも主語が国民になっている。憲法の中身も「国は〜してはならない」「国は〜しなければならない」というように、国がすべき義務や、国がしてはいけない禁止事項を定めている。憲法が国の最高法規と呼ばれるゆえんだ。これが、近代民主主義国家である。

※大日本帝国憲法(明治憲法)は、天賦人権説に基づいたものではなく、人権も公益の名の下に制約されていた。戦争が激化すれば、公益の名の下に人権蹂躙が平然と行われるようになった。

日本国憲法に審判が下される日

日本国憲法第97条に以下の一文がある。

第97条 この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。

もし、近い将来、国民投票という日本国憲法に審判が下す日がくれば、「国民が国家を縛る」という憲法の本質を思い出し、その時に示された改憲案をよく吟味して、判断して欲しいと私は思う。

参考:

日本国憲法の誕生 - 日本国憲法の制定過程に関する概説と貴重な資料を展示・解説 (国立国会図書館)

[asin:B0088TPTGU:detail]

このブログをはてなブックマークに追加  

©2018 だから僕は海外に出る、さあ君も by 佐野由自