だから僕は海外に出る、さあ君も

「日本って何か変だなぁ」という疑問を胸に、思い切って海外脱出した著者が、海外からの視点で日本の社会問題や海外脱出アドバイスを綴るブログ。日本の奴隷的な長時間労働にうんざりしている人、ナショナリズム台頭・人口減・財政難の日本の行く末を危惧している人、協調性という名の同調圧力に耐えられない人、とにかく自分の殻を破ろうと思っている人、そんなあなたに『海外に出ること』を選択肢の1つとして提案する。

だから僕は海外に出る、さあ君も - ニートのガラパゴス日本脱出日記

ガラパゴス化している日本の奴隷的な労働環境と保守的な社会構造に適応できずに海外脱出したニートが海外視点で綴るブログ

仕事なんかクソだろ? 就活やめて日本を出よう! 奴隷やめて海外に出よう! 語学を学び世界に出よう! 「仕事なんてクソだろ」が売り文句の「ニートの海外就職日記」に影響を受けた、あるニートのブログ

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一億総活躍社会—「活躍」しなきゃダメ?「普通」に暮らしたいだけなんだけど

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自民党が、「美しい国」「一億総活躍社会」なるものを提唱している。しかし、本来目指すべきは「一億総幸福」であり、そういう社会が実現している国こそが「美しい国」ではないだろうか?

(僕は別に「活躍」するヒーローなんかになりたくない。「普通」に日常生活を送っている名もないエキストラで十分だよ。「活躍」しなきゃダメ?)

安倍晋三首相の言う「美しい国」とは?

安倍晋三首相が自身の公式サイトでも謳っている「美しい国」であるが、最初聞いたときは抽象的すぎて意味不明だった。おぼろげながらその正体が見えてきた。

※「美しい国」とは自然や街並みのことではない。日本の原風景は、経済振興の名の下に徹底して破壊された。今でも新幹線や高速道路などの各種公共事業で破壊しようとしている。コンクリートジャングル、蜘蛛の巣のような電線と派手な商業広告で埋め尽くされた街は、お世辞にも美しいとはいえない。ただ、「清潔である」という意味の「綺麗」には当てはまる。

美しい国—それは、伝統的な日本の価値観や独自の文化を重視している姿のことをいうのだろう。例えば、以下のような日本の姿である。

  • 結婚は男女がするもので、婚姻後は妻が夫の姓を名乗る姿。
  • 親族を含む家族は助け合う姿。何かあったときは、連帯責任を取る姿。
  • 男は外で働き、女は家庭を守る姿。
  • 失敗したものは潔く表舞台から去る姿。
  • 人権や個人の自由を声高に主張しない姿。

上記に挙げたことは、ある意味では日本の伝統や独自の文化と捉えることもできる。保守主義の自民党からすればこういう姿こそが「美しい」と感じ、同性婚・夫婦別姓・社会保障や自由主義などの個人の自由を尊重するリベラルな政策は「美しくない」と感じるのだろう。しかし、私から見れば時代錯誤にしか見えない。

一億総活躍=一億総玉砕

かつて日本は戦争をした。敗戦濃厚になっても、降伏するのではなく、玉砕することを選んだ。

国民が次々と徴兵され、国内の労働力が不足してくると、女性や中学生までが軍事工場で働くことを余儀なくされた。戦争が激化して、鉄が足りなくなると、寺院の鐘から家庭の鍋に至るまで、「お国のために」供出することを求められた。沖縄戦では、男子は「鉄血勤皇隊」として戦闘要員にされ、女子は「女子学徒隊」として看護要員にされた。結果、数多くの犠牲者を出した。本土では、地上戦に備え竹槍訓練が行われた。銃器で武装した兵士相手に竹槍なんかでかなうはずがないのは火を見るより明らかだが、「一億総玉砕」というスローガンの下に、お国のために尽くすことが求められた。当時の政府がこだわったのは、国体の護持である。

今の自民党がこだわっているのは何かといえば、先に挙げた「美しい国」の護持である。文化・宗教・言語がまったく異なる移民を受け入れたり、夫婦別姓や同性婚を認めたりすることで、自民党が考える「美しい国」が美しくなくなってしまう。「『美しい国』を護持したまま、強い日本を取り戻したい」という思いで、鳴り物入りで出てきたのが「一億総活躍社会」ではないか。

労働力不足が深刻化しているにも関わらず、有効な手立てをとらず、学生から高齢者まで働かせようとする姿は、敗戦必至にも関わらず、降伏することを頑なに拒み続けたかつての日本政府の姿とそっくり重なる。まさに一億総活躍=一億総玉砕である。

「一億総活躍」ではなく「一億総幸福」ではないのか?

幸福私は思う。言うならば、「一億総活躍」ではなく「一億総幸福」ではないかと。

あえて「活躍」するならば、学校を卒業してからでも遅くないではないか。還暦まで活躍した人には、「長い間、お疲れ様でした。後は私たちに任せてください」とゆっくりと休ませよう。活躍したくない人は、別に活躍しなくてもいいと思う。

ただ、普通に暮らしさえできれば。

では、「普通」とは何だろうか?

  • 子供は子供らしくのびのびと暮らせる社会。
  • 学生は学業に専念できる社会。
  • 賃金が低くてもワークライフバランスの取れた生活が送れる社会。
  • 歳を取っても子供に迷惑をかけることを心配しなくてもよい社会。
  • 社会的弱者になっても十分な社会保障が受けられる社会。
  • 結婚や子育てを望む人がそれがかなう社会。

といったところだろう。いたって普通である。しかし、こういった「普通」こそが多くの人にとっての「幸せ」ではないかと思う。

今の日本はどうなのだろうか? 残念ながら「普通」には程遠い。それどころか、ますます遠ざかっている。高い貧困率(特に母子家庭)、ブラックバイトの蔓延、減らない長時間労働、4割にも及ぶ非正規雇用労働者、未婚率の増加、介護難民の増加、社会的弱者に対する風当たりの強さなど問題点を挙げれば枚挙に暇がない。

すぐそばにある「貧困」

すぐそばにある「貧困」

一億総活躍社会の行く末

今から70年前(1945年)、国体護持にこだわるあまり遅すぎた決断が、沖縄・広島・長崎を始めとする日本中で数多くの悲劇を生んだ。あれから70年。「美しい国」の護持や一部の既得権益層を守るために、思い切った有効な政策を取らないことが、日本の将来を不幸のどん底に落とし込む。現在の日本を知りたければ、YouTubeで「貧困」と検索してみるとよい。

「美しい国」(うつくしいくに)を逆から読むと、皮肉なことに「憎いし苦痛」(にくいしくつう)になる。安倍晋三首相が唱える独り善がりな「美しい国」のために、多くの国民が苦痛に耐え、憎しみを抱いている姿が想像できる。

それを防ぐ方法は、私は「学び」しかないと思う。「自己責任」という言葉を軽々しく口にするのは、学のなさの裏返しである。

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©2018 だから僕は海外に出る、さあ君も by 佐野由自