堅実で高望みをしない現代の若者気質を表す「さとり世代」という言葉がある。草食系とほぼ同じ意味で、恋愛に淡泊、ブランド品やクルマを欲しがらない、海外旅行に興味がないといったことが当てはまる。しかし、悟りを開くのはまだ早い。
このままだと現状維持すら難しい
「労働者の4割近くが非正規雇用」「3人に1人が生涯未婚」「少子高齢化で人口減」「30代母子が餓死」といった暗いニュースばかり流れ、閉塞感漂う今の日本を見ていると、「ジタバタするのをやめて、運命として受け入れよう」と考えるのも無理はない。
「衣食住+ネットがある現状を維持さえできれば十分だ」という声もあるだろう。しかし、今の状況では、現状維持すらままならない。現に、就職や結婚といった昭和時代は当たり前だったことが、今や当たり前ではなくなっている。深刻な少子高齢化を前に、年金制度や医療保険制度の維持できないという指摘すらある。
かつて存在した、“みんなと同じようにすればみんな幸せになれた日本”
昭和時代は、新卒採用、年功序列、終身雇用、見合い結婚や男尊女卑などの「日本的システム」は非常に機能していた。あえて他人と違う行動を取らない限り、自動的に就職でき、自動的に結婚でき、自動的にそこそこの幸せな生活が営める時代だった。時代は高度成長期であり、昨日よりも今日、今日よりも明日と日々豊かになっているのを実感できたので、きつい仕事でも「いずれは豊かになれるさ」と我慢できた。
「日本的システム」の終焉
「日本的システム」はとっくの昔に機能不全に陥っている。その結果が失われた20年であり、3人に1人とも言われる生涯未婚率であり、リアルでの対人関係を築けないおひとりさまの顕著化であり、正規雇用と非正規雇用との格差でもあるのだ。
システムが時代の変化に取り残され、うまく機能していないならば、システムを時代の流れに合わせて新しくすればいい。もちろん、これは簡単なことではない。スマホのOSをアップグレードすることとは訳が違う。
社会システムの変更となれば、特定世代や保守層からの強い反発もあるだろう。特に日本的システムの恩恵を受けた世代は、時代が変わったことに気付かないのか、既得権益を手放したくないのか、なかなかこのシステムを変えようとはしない。まるで今年が「昭和89年」であるかのように、昭和時代のやり方にこだわり続けているのだ。彼らを説得することは一筋縄ではない。
※私が以前書いたエントリーの 途切れた「日本人レール」と未だにその上を走り続ける「普通」 も参考にして欲しい。
価値あるものは努力なしに得られない
今は昭和ではない。平成になってから、すでに四半世紀が過ぎた。このままでいけない。だから、時代に合ったシステムに変えていかなければいけない。
幸せや豊かさといったものは、与えられるものではなく、不断の努力によって勝ち取っていくものだ。既知のことを学習したり、既存のシステムが機能するために心血を注いだりするだけでなく、よりよい社会のために、未知のことや新しいことに、失敗を恐れずに果敢に挑んでいくことも努力の1つと言えよう。
もちろん、今の若者がまったく努力していないと言うつもりはない。残念ながら、努力するベクトルが間違っていただけだ。例えると、いくらTVゲームのテニスを猛特訓して、そのゲームでは強くなれても、実際のテニスでは強くなれないのと同じである。
間違ったことを努力していたならば、その間違いを正して、正しい方向に努力をすればいいだけではないか。それ以外に道はない。
幸せは歩いてこない、だから歩いて行く
このブログの冒頭では「日本を出よう」と刺激的なコピーが並べてある。それは、海外脱出という選択肢が、「ワークライフバランスの取れた生活を得る」という観点から、一番現実的であると私が考えているからである。あくまでも私自身の考えであって、万人に当てはまるわけではない。人によっては「ヨーロッパ並のワークライフバランスは要らないけど、安定した職と家族は欲しい」「やっぱり地元が好き。家族や友人とすぐに会える距離に住みたい」という考えもあるだろう。
幸せの基準はひとりひとりで違う。日本に見切りを付け海外に出るのも選択肢の1つだし、日本のあり方を時代に即したもの変えていくのも選択肢の1つである。
大切なことは、
「政治家のお偉いさんが何とかしてくれるわ」
「つらいのはみんな一緒さ。もうどうにもならない」
ではなく、
「オレたちの国だ。オレたちで良くしていこうぜ」
「私の人生の幸せは、私の力で手に入れてみせるわ」
と考え、主体性を持って行動していくことである。
私たちの未来にも春が来るように、信念と勇気を持って私たちの未来を切り開いていこう。一歩づつ。
- 作者: デールカーネギー,Dale Carnegie,香山晶
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