今日(2月11日)は「建国記念日」である。海外では、独立記念日に当たる。海外では、その国で一番大切な日であり、国を挙げて盛大に祝うのが普通だ。打って変わって日本では、多くの人にとっては普通の休日である。今回は、建国記念日を迎えての雑感を綴ってみる。
この「建国記念日」は、GHQに廃止させられたかつての「紀元節」を復活させたものだ。私は、旧紀元節を建国記念日にするよりも、サンフランシスコ平和条約が結ばれた9月8日を「独立記念日」にした方がよいと思っている。(敗戦国日本が主権を取り戻し、民主主義国家として歩み始めた日として祝う)
「建国記念日」という国の誕生日を大々的に祝わない日本
私は、日本にいたとき、外国人の友達と「今日は建国記念日で祝日なんだ」と話したことがある。「わぉ! さぞかし街は賑やかで、お祭騒ぎなんでしょう?」と聞かれたので、私が「普段の休日と何にも変わらないよ。国旗を掲げている家なんてほとんど見ないし、働いている人も普通にいる」と返すと驚かれた。
今日の日本では、祝日に軒先に国旗を掲げている家はめったに見かけない。しかし、祝日に国旗を掲げることは、海外では珍しくもなんともない普通のことだ。まして、建国記念日のような特別な日であれば、なおさらである。
国旗を掲げたらウヨク、人権と叫んだらサヨク扱いの不思議な国
日本では、祝日に国旗を掲げたら、「あそこは右翼だ」とレッテルを貼られかねない。
祝日の国旗掲揚に限ったことではない。「日の丸や君が代を尊重すべきだ」という主張は、多くの場合は右派と見なされる。逆に、日の丸や君が代に反対したり、反戦や人権擁護を唱えたりすすると、左派だと見なされる。
私は、日本に限らず、国民が自分たちの国旗・国歌を尊重するのは普通のことだと思っている。また、外国人であっても、犯罪者であっても、性的マイノリティであっても、人権は尊重されて当然だとも思っている。欧米人なら当たり前のことだ。日本では、右派とされる「国旗・国歌の尊重」も、左派とされる「人権の尊重」も、相反することなく同時に成立している。
愛国心はほとんどの日本人が自然に持っている
「日本人は愛国心を持っていない」という人がいるかもしれないが、それは間違いである。
2010年のワールドカップの時、私は海外で日本人の友達と試合を観戦した。日本代表がゴールを決めると大きな歓声が沸き上がった。
日本人がノーベル賞を受賞すると、日本中が沸き立つ。メジャーリーグで日本人選手が活躍するたびにニュースになる。今開幕中のソチ五輪でも、日本人選手がメダルを取れば選手の地元はもとより、日本中が大盛り上がりになるだろう。
これらを愛国心と呼ばずして、一体何を愛国心と呼ぶのだろうか?
自民党は愛国心を育むような教育方針を打ち出しているが、愛国心とは決して、上から植え付けられるものではない。自然に備わってくるものである。恋愛と同じように。
もし、日本が嫌いということであれば、五輪やW杯で日本人が活躍しても何とも思わないだろうし、むしろ負けることを期待するであろう。
国旗・国歌を変えるという選択肢
自民党や保守派は反発しそうだが、国旗・国歌を変えるというのもありだろう。国旗・国歌が変わるというのは、頻繁に変わるものではないが、珍しいことではない。
フランス国歌の「ラ・マルセイエーズ」は歌詞が過激だということもあり、変えようという声も度々起こっている。ドイツの国旗は、1949年に制定された。カナダの国旗は、両側に赤い帯があり、真ん中にカエデの図形が描かれている。1965年より使われている。最近では、ニュージーランドが国旗変更の是非を問う国民投票を予定している。
私は、国旗・国歌の変更は、決して突拍子なことではないと思う。
国旗に関しては、複数の図案を出して、1つに絞り込めばよいだろう。国歌に関しては、日本国憲法の理念である「平和主義」や「基本的人権の尊重」を唄う現代文型の分かりやすいものにする。最終的には国民投票にかけたうえで、過半数の賛成を持って、新国旗と新国歌を制定すればよい。民主的な手続きを経て制定した国旗・国歌なのだから、何のしがらみもない。
海外のような「祝日」になる日は果てしなく遠い
私自身は国旗・国歌は日の丸・君が代のままでもいいと思っている。外国人は、日の丸や旭日旗のことをクールだと思っている人も少なくない。
五輪やW杯のようなスポーツイベントだけでなく、祝日にも各家の軒先や街角に国旗が掲げられ、国の誕生日とも言える「独立記念日」を国ぐるみで祝う海外を、私はいつもうらやましく思う。
改憲に賛否両派集会、建国記念日 危機感、推進の声 (東京新聞)
あなたには誕生日がある。会社・学校にも創立記念日という誕生日がある。「建国記念日」は日本という国の誕生日である。花火が打ち上げられ、日本の伝統衣装に身を包んだ人が踊りながらパレードをし、国歌が流れる中を国民が国旗を振って、「建国祭おめでとう」「Happy Birthday to JAPAN!!」と祝うような純粋なお祭りになる日はいつのことだろうか。
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