ネットの炎上事例は右肩上がりである。炎上させているコメントを含めて、ネットユーザーによる言及は、「ネットの反応」「ネットの声」などと言われている。私はそんなものは、基本的にスルーしてかまわないと思っている。それらは、しょせん観客席のごく一部の観客から飛ばされるヤジに過ぎない。ネットの反応なんかに振り回されていれば、「船頭多くして船山に上る」のようになってしまう。
「ネットの反応」はしょせんノイジーマイノリティー
ネットの反応は、物言わぬ大多数の人(サイレントマジョリティー)の声を代弁するものではなく、ごく一部の過激な声(ノイジーマイノリティー)に過ぎない。*1日本人のわずか1%に過ぎない希有な価値観の持ち主でも、日本全体でみればざっと100万人はいることになる。さらにその1%が過激な言動を取る傾向があるとすると、その数は約1万人である。その1万人のうち、アクティブな層を1%とすると100人、0.1%だとするとわずか10人。
炎上というと、非常にたくさんの人が怒っていて、物言わぬ大多数の人の声を代弁しているようにみえるがそうではない。匿名掲示板で専用スレッドがあって誰かをウォッチ(という名の粘着)していても、投稿している人は数人だったというのはよくある話だ。中には、1人で10以上ものアカウントを使い分けて、執拗に攻撃していたというケースもある。IPアドレスを調べると、全部同じだったという。わざわざ文句を言うためだけに、架空アカウントをいくつも作るってどれだけ暇なんだかと思ってしまうけど、暇なのであろう。
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ネットの反応なんか完全スルーでOK
企業にせよ個人にせよ、ネットで情報発信する以上、炎上リスクは常につきまとう。炎上とまでは行かなくても、とやかく批判されることは避けて通れない。しかし、私に言わせれば、炎上も批判も過度に恐れる必要はない。
もし炎上した場合、一応炎上の原因となった言動を振り返ってみる。自分の言動に明らかに問題あった(犯罪・差別・反社会的な行為など)ならば、その時は素直に非を認めて謝った方がよいだろう。しかし、自分の行動に非がなく、価値観の相違や「不謹慎です!」といったくだらない言い掛かりのようなものであればスルーでよい。前回の記事でも書いたが、人間は分かり合えないのだから。
こんなことを書くと、「批判に真摯に向き合うことが大切」という声があるが、「あちらに配慮、こちらに配慮」なんてことをしていれば、しまいには何も言えなくなってしまう。だから私は、批判はノイズと切り捨てて構わないと思っている。あえて向き合うべき声とスルーすべき声の線引きするとすれば、スルーすべきは「ネットの反応」「匿名のもの」「感情的なもの」「ぞんざいな言い方」の3つぐらいに当てはまるものといったところだろう。
強い信念を持って本気で動いている人は、実名を使ってくるし、ネットの中だけに籠もらず訪問とか手紙とかの手段も使ってくる。さらに、相手にも動いてほしい場合は、最低限の礼儀を持って接してくるものだ。
匿名でネットで騒いでいる連中は、騒ぎたいだけか、ストレスを解消したいだけかの連中なので、スルーしていればやがて飽きて去って行く。彼らの大半はネット弁慶なので、ネットの外では行動力は高くはない。犯行予告や脅迫など悪質なケースであれば、被害届を出せばよい。
『ウェブはバカと暇人のもの』の著者である中川淳一郎さんの言葉を借りれば、炎上させている人たちは、まさに「バカと暇人」「イタい人」である。
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炎上上等で行こう
ネットで情報を発信するならば、炎上を恐れるどころか、逆に「炎上上等だ!かかってこいやネット弁慶共」「そんなに言うなら、素性明かして面と面を合わせて徹底的にディベートしようぜ!全世界に生中継してさ」ぐらいの気持ちで情報発信しよう。(実際に「直接会って素性を明かしてお話ししませんか?」と言えば、十中八九「忙しいから」って返ってきそう)
もちろん犯罪行為をしたり、差別発言をしたり、冷蔵庫に入ったりするような非常識なことは慎むべきだが、そうでないのであれば、あなたの信念と正義と直感を信じて、自分が信じる道を行こう。
企業アカウントの中の人、個人ブロガーの皆さん、炎上なんか恐れちゃダメですよ。炎上を恐れてコンテンツ作りや情報発信をどんどん萎縮するようになれば、何も言えない息苦しくてつまらない世の中になってしまいます。
◇
いつも思うのだが、炎上させている人たちはその怒りのエネルギーを他のことに向けたらいいのに。炎上は「許せない」が動機*2だというが、短気は損気。短気の人はDNAの老化が早いそう。*3
ネット上のキラたちも困ったものだ。
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