私が予想する21世紀後半の日本は次のような感じだ。(それまでに日本が巻き込まれる戦争が起きなければ話だが)
*
西暦20xx年、日本……。
日本上空を飛ぶ飛行機から……
- 「見ろ、至る所に廃墟が見えるぞ!」
- 「道路は凸凹で穴だらけみたい。おまけに橋は落ちたままだね」
- 「あれは作りかけのリニアだ。工事は中断して長年放置されたままだよ」
- 「あそこに見えるのは『新幹線』と呼ばれた高速鉄道の残骸かな?」
地上に降り立つと……
- 「のどが渇いたな……水でも飲むか」
- 「水道水なんか飲んじゃダメダメ! お腹壊しちゃうよ」
- 「日本って水道水飲めるんじゃなかったっけ?」
- 「いつの時代の話だよ。浄水設備の劣化で水道水は飲用には適さなくなったんだよ。水だったらコンビニで買うしかないよ」
街に観光に出かけると……
- 「ここってあの有名なアニメ映画の聖地だよね」
- 「そうだよ」
- 「見る影もないほど朽ち果ててるね」
- 「あの建物は学校かな? 廃校っぽいね。校舎はぼろぼろだし、グラウンドも雑草がぼうぼうだ。かなりの年月が経過しているみたいだね」
- 「2軒に1軒は空き家らしいし、残っている人もほとんどは高齢者だよ。子供がいないからねぇ」
- 「この先に団地があるはずなのに、道路に立入り禁止のロープが張ってあるね」
- 「この先の団地はもう誰も住んでいない。倒壊の恐れがあって危険だから、区画ごと立入り禁止にしてるんだよ。取り壊して更地にするにも費用がかかるからねぇ」
- 「街自体が老いているみたいで、何か寂しいなぁ……」
- 「あそこにあるのはスタジアムかな? スポーツ観戦でもしよう」
- 「あぁ、廃墟だった……」
- 「国内のプロスポーツチームは統廃合が進んだ。人口減少でマーケットが縮小したことに加え、少子化でプロを目指す子どもの数も激減して、競争が緩んだことで選手の層も薄くなったんだよ」
- 「あの廃墟になっているスタジアムも、30年前は優勝争いをして、大歓声がこだましてたんだよ」
- 「はぁ〜。もうホテルに行くよ」
ホテルでは……
- 「テレビでも見るか……」
- 「あれれ……健康番組とか、昭和末期〜平成を舞台にした時代劇とか、お年寄りが好みそうな番組ばっかり」
- 「人口の半分以上は高齢者だからね。子ども向けの番組を放送しても数字がとれないしねぇ」
- 「あっ、面白そうな番組があったよ。『世界に輝いていたニッポン〜スゴかったですね!!敬老団』だって」
- 「それも高齢者向け。じいちゃんばあちゃんが経済大国にして超先進国だった頃に日本に思いを馳せる番組だよ」
- 「なんだよ〜それ」
翌日、東京に行くと……
- 「このホームドアは可動式だよね? 開けっ放しだよ」
- 「きっと壊れてるんだよ」
- 「この駅、やけに暗いね。電気が半分しか付いてないよ」
- 「ホームの長さは15両分なのに、6両編成の電車しか来ないね」
- 「車内には液晶モニタが付いているけど、何も映ってないよ。あっちの液晶は割れたままだ」
- 「○○線は車両故障で運転見合わせ中なんだって。故障が多いよねぇ」
- 「街を行き交う人たちの表情もなんか暗いね」
そこにお年寄りが現れて……
- 「山手線は11両もあって、ひっきりなしに電車が来ては、多くの乗客でどこの駅もごった返しておってのう。あまりの乗客の多さで、ドアが開かなかったり、窓ガラスが割れたりすることもあったのじゃ。かれこれ50年以上も前の話じゃがな」
- 「この国はものすごくエネルギッシュな国だったんですね」
- 「あぁ、そうじゃとも。GDPは世界第2位、1人あたりのGDPも世界第2位。ノーベル賞受賞の常連国じゃった」
- 「なぜ、この国はこんなに無様に落ちぶれてしまったんですか?」
- 「長い話になるが……」
- 〜
- 「あなたはもしかして『伝説の企業戦士リーマン・シャーチック』では?」
夏草や社畜どもが夢の跡……
*
ベタなストーリーだが、こんな会話が交わる日が現実となるかもしれない。5年10年でこのようになることはないが、50年100年先を見据えると……。
貧しくても、明るい国民性であれば「飲んで歌って笑って恋をして、太く短く生きよう」というのもありだが……日本は「孤独の国」なので望み薄である。
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日本はもはや先進国ではない
「確かに日本は以前ほどの勢いはないけど、まだまだ豊かな先進国じゃん」というのは、典型的な00年代思考である。日本のGDPが中国に抜かれて世界第3位に転落したのが2011年のことであるが、今では3倍近い開きがある。
「日本をべた褒めする外国人が増えてるじゃん」というのは、愛国ポルノ(日本賞賛番組)の見過ぎである。この手の番組が増えていること自体、自信の無さの現れだろう。
日本はもう先進国じゃなくて、衰退途上国。「衰退途上」なので、これからどんどん衰退していく。まだ豊かな生活を送れるのは、先進国だったころの余熱が残っているから。電源を切ったアイロンと同じ。
— ガラニート (@GalaNEET) 2018年2月27日
認めたくない人もいるだろうが、事実は事実である。
格差が拡大しているのは、日本に限らず海外でも共通である。経済、産業や技術といった面では、日本が一人負けし続けている。
この1年くらいだけでも
— まことぴ (@makotopic) 2017年10月18日
三菱重工→大型客船撤退
三菱航空機→MRJの相次ぐ納期延期
東芝→米国の原発事情で巨額損失
タカタ→不良エアバッグで経営破綻
日産→不正検査発覚
神戸製鋼→データ改竄発覚
日立→英高速鉄道で初日から故障
みたいな有様って、何かが始まってる感がすごいな。
ただの偶然が重なっただけとは言えない。日本の「終わり」が始まっているのだろう。
なぜこうなったのか?……完全な失政であろう。
女性の登用はできず、外国人労働者の受け入れは進まず、イノベーションは起こらず、画一的な教育のあり方は変わらず、長時間労働を是認する働き方は変化せず……etc。まるで高度経済成長期の亡霊に取り憑かれているかのように、旧態依然なやり方を変えようとしなかったのが原因ではないか。
日本はオワコンのブラック国家。しかし……
ただ、1つだけ言えることがある。
(先進国としての)日本はオワコンかもしれないが、あなたの人生はオワコンではない。
ちっぽけな自分を、強大な国家と一体化すると、どうしても「日本はスゴい=自分もスゴい」「日本はもうダメ=自分ももうダメ」となってしまう。しかし、自分を国家と切り離し、独立した「個」と見なせば、「日本がダメなら海外だ」「俺たちで新しい国を作ろうぜ」と気概が生まれてくる。
以前の記事でも書いたのだが、価値を生み出せる人間になって、前途多難なグローバル時代を生き残ろうではないか。戦前・戦中と違って、私たちは自由なのだから。
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