前回のエントリーで参照した記事の最初の方に「ソー活先進国・米国」と書いてあったが、米国の就活生はFBを就活に使わない。彼らは、就活のために、わざわざFBに登録している名前を変更したり、プロフィールの公開範囲を狭めている。
海外では就活のためにわざわざFBの名前を変える
Facebookで顔を隠す求職者たち (英語) CNN (2010年03月29日)
米国の就活生の声が載っている。要点は以下の通りだ。
- 多くの就活生が就活のためにFBの名前を変更したり、公開範囲を狭めている。
- 就活生の多くは、企業にFBページを見られることを快く思っていない。
- 70%の企業がオンライン上で求職者の情報をチェックしている。
- 企業は、求職者のFBページの他人からのコメントは重視しない。ただし、人種差別や同性愛者差別などのコメントがあれば、不採用になる。
最近は、企業が就活生と「友達」になることを要求したり、悪質なケースではFBのユーザーIDとパスワードを教えるように求めてくることもある。
日本では「協調性」をチェック、海外では「常識」をチェック
企業が候補者のFBページを覗きたがるのは海外でも同じだが、その理由は異なる。日本では、前回のエントリーで取り上げたとおり、候補者の協調性を見ることが主な目的になっている。日本企業では「FBが充実している=社交性・協調性がある」という図式が成立しているうえ、「協調性」が日本企業で働く上で不可欠な要素となっているからだ。他方、海外では、候補者が不法行為や差別的な言動をしていないかどうかを見ることが目的になっている。海外では、日本以上に人種差別・同性愛差別に対して極めて敏感なことと、特に米国では訴訟社会であることが要因であろう。
ちなみに、日本ではFBページが充実しているほど、「リア充」と見なされるようだが、海外ではそうではないようだ。低学歴ほどFBに熱中し、ヘビーユーザーは人生の満足度が低い(英語)というデータがある。
FB就活(ソー活)の一般化がFBをつまらなくさせる
企業が候補者のFBページを選考材料にすることが知れ渡れば、候補者は企業に受けの良い写真やコメントしか公開しなくなるだろう。空気を読んで、本音と建て前を使い分けることが処世術とされる日本ではなおさらだ。 中には、「弊社スタッフの外国人と笑顔の写真を撮って国際性をアピールしよう」「就活用にあなたのFBページを弊社スタッフが盛り上げます」なんてサービスが出てくるかもしれない。あるいは、すでに存在するかもしれない。
就活生の側も、就活用に別アカウントを作ったり、見る人が友達か企業かによって公開する内容を変えるように設定したりするかもしれない。友達しか見られないページには「炎上するほどではないけどちょっと羽目を外した写真」が、企業に見られることを前提にしたページには「マジメに勉強して優等生ぶっている写真」がアップロードされるという何とも滑稽なことになることも考えられる。ネット上の人格なんて、いくらでも作れるのだから。そうなっては元も子もなかろう。
友達同士の交流はSNS、候補者と企業の交流は専門サイトという形がベスト
ソー活はソー活でも、同じ就活中の友達同士が情報交換に使うのは、それは大いに結構なことだ。だが、ソー活が企業主導で行わたり、会社の人間がFBに入ってきたりするとなれば、話は別である。企業と就活生のつながりは、リクナビやマイナビなどの新卒向けサイトで、就活中の友達同士の交流はFBで、というように使い分ければよいではないか思う。企業と就活生の交流が大事だと言うのなら、そういった就活サイトをSNSのようなシステムにすればよかろう。企業は就活生のプライベートを尊重し、FBを探るべきではない。説明会や面接などで会社を訪問した就活生の跡を尾行して、こっそり日常を探る行為など一般的ではない。リアルの延長線上にあるFBでも同じではないか。
FBに限らずSNSというのは、気が合い、志を同じくする仲間同士の交流だからこそ楽しく役立つのだ。もう一度、SNSの原点に帰ろうではないか。
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