最近、TwitterやFacebookなどのSNSで、若者が悪ふざけを撮影した写真を投稿し、それが元で炎上するケースが立て続けに起きている。
「最近の若者は……」は今に始まったことではない
記事によっては「若者のモラル低下」と書かれているが、こういった若者の悪ふざけは今に始まったことではない。ネットが一般的になる以前からこういった行為をする輩はいた。スマホとSNSの普及が、そういった写真を世に知らしめることを容易にしたに過ぎない。
それにしても、最近の炎上件数は多い。これだけ炎上が相次いでいるのに、なぜ止まらないのだろうか?
悪ふざけ投稿をしている輩は、時事ニュースにさして興味がなく、こういった炎上事件が多発していること自体を知らないのではないか。さらに、炎上しそうな投稿を血眼になって探し回って、炎上させること自体を楽しんでいる輩がいるのも、炎上事件が増えた要因だろう。彼らは、様々な方法を駆使して、炎上しそうな可燃物を探しては、着火(拡散)させているのだろう。
たった数人のバイトのせいで大損害
企業や学校としても、炎上までしてしまえば、放置するわけにはいかない。炎上まで至らなければ、悪ふざけを見つけても、注意や反省文だけで済ますかもしれない。だが、世間に知れた以上、世間体を重視し、重い刑事告訴や退学処分までするのは仕方ない。
では、どうすれば防げるのだろうか? 大人を相手に「食べ物を粗末にしてはいけません」と訓示を出すのは滑稽だ。そもそも、それで効果があるのなら、悪ふざけに限らず不祥事なんて発生しない。スタッフに、一般常識やSNSの危険性について徹底教育するのも、コストに見合わない。中学校や高校の授業で、ITリテラシーを高める情報教育をすればよいのだが、そもそも悪ふざけ投稿をする人が、マジメに情報教育の授業を受けるとは思えない。PCやスマホを買い与えるとき、家庭で情報教育するにしても、親の方がITに精通していないことが多い。SNSの利用を禁止するわけにもいかない。
これといった対策方法は思い浮かばない。では、ITリテラシーが高い利用者がどうすべきか考えてみた。
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あなたの友達でも晒しますか?
もし、あなたの友達が、大っぴらになれば炎上するような悪ふざけをしていれば、写真に撮ってネットに晒そうとするだろうか?「そんなことはやめようよ」と言って、止めるだろう。それが、友達としての行為であるからだ。
赤の他人だからと言って、晒す理由は存在しない。だから、もしあなたがこの手の投稿を見つけた場合、スルーするか当人に直接注意すればよいと思う。見過ごせないのであれば、関係先に連絡すればよい。わざわざ大ぴっらに拡散させる必要はどこにもない。
一度ネットに拡散した情報は消せない
ひとたびネットに拡散すると、それを消すことは不可能だ。次々とまとめサイトが作られ、それらは半永久的にネット上に存在し続け、検索の対象となる。炎上したような反響の大きいケースは、長期にわたり検索結果の上位に表示される。
悪ふざけ投稿をした連中が、やがて社会性を身につけ、就職しようと思っても、採用担当者が応募者の名前を検索して、何年も前の不適切な行為が中傷とともに出てくれば、不採用となることもありえる。場合によっては、同姓同名の別人が被害を受けることもある。
悪ふざけ投稿を拡散している人に悪意はないであろう。だが、拡散された人は、将来にわたって、大きな社会的制裁を受けることになる。これは私刑(リンチ)と呼べるのではないか。法に触れなくても、何気なく拡散することが、その私刑に加担していると思う。度を超した悪戯であれば、責任を問われて然るべきだが、処分を下すのは関係先であって、私たちではない。
近代法治国家で、なぜ私刑が禁止されているのかは、各々で考えてほしい。
続・相次ぐ悪ふざけSNS炎上事件とどう向き合うか (関連エントリー)
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