私が海外脱出を決意した最大の理由は、日本の劣悪な労働環境に耐えられなかったからである。私に限らず、同じ理由で海外脱出をした日本人は少なくない。では、日本の労働環境のいったいどこが劣悪なのだろうか?
ガラパゴス化している日本の劣悪な労働環境
日本の労働における問題点は、大きく分けて、労働環境(職場のあり方)と雇用慣行(雇用のあり方)の2つある。このエントリーでは、前者の労働環境について書く。
日本の多くの会社では、職種や業種を問わず、長時間労働が当たり前になっており、「サービス残業」と称する賃金不払い残業や、休日出勤も少なくない。有給消化率も非常に低く、多くの日本人がワークライフバランスが取れているとは言い難い生活を余儀なくされているのが現実だ。事実、深夜の下り通勤電車に乗れば、うつろな目をしているサラリーマンの姿を目にし、深夜にオフィス街を歩けば多くのフロアにこうこうと電気がついたビルを目にする。
ワークライフバランスが取れない生活は何を生み出すのか?
その結果として生じているのが、日本発の単語として世界語にまでなった過労死、鬱による自殺、生きがいの喪失、非婚化・晩婚化、生活習慣病や家庭崩壊である。これらは労働環境がガラパゴス化している日本のみの現象であり、海外ではほとんど見られない。しかしながら、日本で生まれ育った多くの日本人はそのことに気付いていない。実際、私も、海外に出るまでは、気付いていなかった。
有給病欠制度すらない日本
海外では、残業がほぼ皆無なのはもちろんのこと、1ヶ月を超えるような休みも珍しくはない。さらに、海外では一般的に「シックリーブ」(Sick Leave)と呼ばれる有給病欠制度がある。これは病気の時に使える有給休暇で、本来の本給休暇とは別に与えられる。制度の詳細は国や会社によって異なるが、家族が病気の時でも使え、数日なら医師の診断書が不要というのが一般的だ。日本にこういう制度はあるだろうか?病気になったら、多くの人が有給を使っているのが現実であろう。会社によっては、有給すら使わせてくれず、無給の欠勤扱いにされるところもある。
日本の劣悪な労働環境は日本の病巣
あなたは、これまで挙げた日本の労働環境を「仕方がないこと」と思うかもしれない。あるいは、あなたの会社は、それほどひどくなく、上で書いたことはすべて他人事かもしれない。しかし、それは、あなたが幸運なだけで、多くの日本人がワークライフバランスを取れずにいるのが現実だ。あなたも、いつリストラされて、転職を余儀なくされるか分からない。あなたの子供が、将来ブラック企業に就職して、過労死したり、鬱病で自殺したりするかもしれない。私は、他人事だからといって、日本の労働問題から目を背けないでほしいと思う。この問題は、日本に住んでいる日本人が避けては通れない日本が抱えている大きな病巣であるからだ。
私は、日本の劣悪な労働環境そのものが、日本という国自体を将来危機に陥れていくのではないかと危惧している。そう思う根拠については、追々書いていくつもりだ。
私は、このエントリーで取り上げた「日本の労働環境は相当ガラパゴス化している」という事実を、まず念頭に置いてほしいと思う。