生きていると様々な「嫌なこと」に出くわす。ところが、今の日本を見ていると、「嫌なことにも耐えるのが美徳」「つらさを経験することで成長できる」という精神論・根性論が幅をきかせている。私は、嫌なことは我慢せずに逃げ出せばいいと思っている。
- 日本の保守的すぎる村社会にうんざりしている人は、海外に出よう。
- 東京に疲れた人は、地方に移住しよう。
- 地方に嫌気がさした人は、都会に出よう。
- 親と折り合いが付かない人は、実家を出よう。
- SNSに疲れた人は、SNSから距離を置こう。
- 会社が嫌な人は、転職なり起業なりしよう。
- 配偶者から暴力を振るわれている人は、離婚しよう。
- 部活がつらい人は、転部なり退部なりしよう。
- ブラック企業に勤めている人は、躊躇せずに辞めよう。
- 過剰な指導や体罰が横行しているブラック学校に通っている人は、さっさと退学しよう。
こんな感じで嫌なことからはどんどん逃げてOKだ。精神論・根性論がはびこっている日本でこんなことをいうと、「そんな弱気でどうする!?」「根性無し!!」だと顔を真っ赤にして怒り出す人がいそうだが、相手にする必要はない。
もちろん、「何か嫌なことが起こるたびにすぐに逃げろ」と言っているわけではない。切迫度、解決可能性、逃げる先、逃げるのにかかるコスト、逃げたときのリスクといったことを冷静かつ適格に判断した上で、逃げた方が得策だと判断すれば、躊躇することなく逃げ出せばいいと言っているのである。
そもそも日本人は我慢しすぎだ。我慢することは美徳ではない。
周囲の反応や世間体なんか気にしちゃダメ
日本は、「空気」という名の周囲の反応や世間体が、同調圧力として多くの人に重くのしかかっている国だ。
例えば、
- 「日本が嫌いだから海外に脱出する」と言えば、「反日」「非国民」と批判してくる人たちがいる。
- 親の反対を押し切って実家を出て行けば、「親不孝者」と非難する親族がいる。
- 会社の飲み会が嫌いだから参加しないと、「あいつは付き合いが悪い」と陰口をたたく同僚がいる。
- ブログやSNSで情報発信していると、いちいち匿名でクソリプやクソコメを付けてくる残念なネット民がいる。
- 就職した会社がブラックだからといって3ヵ月で辞めたら、「『石の上にも三年』っていうだろう。お前みたいな根性無しはどこに行っても成功しないぞ」と難癖付けてくる社畜がいる。
私に言わせれば、周囲の反応とか世間体などというものは気にする必要ない。世間体に殺されるわけでも、殴られるわけでもないのだから。勝手に言わせておけばいいのではないか。
逃げるということを阻害しているものは、以下のように、自分のプライドである場合もある。
- 「僕ってなんて弱い人間なのだろう」
- 「生活保護なんて恥ずかしい」
- 「逃げちゃダメだ」
逃げることは卑怯でも弱虫でもない
あなたが丸腰の時、目の前にライオンや熊が現れたらどうするだろうか? もちろん逃げるであろう。そこで逃げた人を、臆病者だと非難する人はいない。逆に、逃げずに立ち向かった人は「命知らずのバカ」と言われる。
オープンワールドのRPGをプレイしていて、街道に「ジミンアベラー」というラスボス並に強大なザコモンスター(HP:999K、賢さ:0、特技:レベル1デス)が立ちふさがっているとしよう。倒すのが非常に困難な場合、どうするだろうか? それが遠回りであっても、そのモンスターがいる場所を避けて通るのも、立派な攻略方法の1つである。
現実の世界もこれと同じだ。会社の労働環境が劣悪極まるとか、学校の部活の練習が過酷すぎるとか、家庭内暴力がひどいとかといった場合、自分の命を守るためにも、逃げるべきである。
人間というものは、私たちが思っているほど丈夫ではない。直接的な暴力でなくても、我慢して続けているといつかは病気になる。普段は意識していなくても、知らず知らずのうちにストレスがたまっていく。最悪、何らの病気になることもある。
逃げることは消極的な意思表示でもある
あなたが購入した商品が、欠陥品かと思うほど酷い商品だったとしよう。積極的な意思表示が、そのメーカーに直接抗議したり、レビューサイトに書き込んだりすることだ。他方、消極的な意思表示は、黙って逃げることだ。そのメーカーの商品は二度と買わない。
みんなが買わなくなったらどうなるだろうか? 目に見える形で売り上げが下がっていくと、会社の経営者は「何かおかしいぞ!?」と気付くはず。「このままだとヤバい」となれば、それは改善への見えない圧力となる。
国の場合も同じだ。優秀な人材がどんどん海外に流出したらどうなるだろうか? 外国人が出稼ぎ先として日本を避けるようになったらどうなるだろうか? 目に見える形で国力がっさがっていくと、政府は「何かおかしいぞ!?」と気付くはず。いよいよ「このままだとヤバい」となれば、それは改善への見えない圧力となる。今年(2017年)の流行語大賞にノミネートされた「働き方改革」も、多くの人が「何かおかしいぞ!?」「このままだとヤバいって」と感じ始め、「何とかしたい」という機運が国全体で高まってきたからこそだろう。
もっとも国のあり方は、「何とかしたい」と思って何とかなるほど、短期間で易々と変わることはない。だったら、絶望するよりもさっさと行動を起こせばいい。たった一人でも。「逃げる」というのは立派な行動だ。
檻に閉じ込めたネズミにランダムに電流を流すと、最初は痛がって必死に逃げ出そうとする。しかし、それが続くと「何をやっても無駄」と学習し、ただ痛みに耐えるだけとなる。これを学習性無力感という。ネズミの実験だが、私たち人間にも当てはまる。無気力なネズミはもう終わりだ。
我慢する必要はどこにもない。嫌なことからはさっさと逃げ出して、自分の時間を生きよう。
LESS IS MORE 自由に生きるために、幸せについて考えてみた。
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