昨週放映された『千と千尋の神隠し』に続き、今夜(2017年1月27日午後9時)は『耳をすませば』(近藤喜文監督/宮崎駿脚本)が放映される。
この作品がテレビ放映されるたびに、ネット上では「鬱になった」「死にたい」といった怨嗟の声が吹き荒れる。「鬱アニメ」「耳をすませば症候群」なんて言葉もあるほどだ。おそらく、パッとしなかった自分の中高生時代と比べてしまい、憂鬱な気分になるのだろう。たとえ、中高生時代に良い思い出がなくても、今が幸せならそれでよいだが、そうでないところを見ていると……。
私に言えることは1つ。──行動を起こそう!
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♪カントリーロード この道 ずっと 行けば…
この映画の主題歌は、「カントリーロード」(Take Me Home, Country Roads)である。『耳をすませば』のプロローグはオリジナル(英語版)のままだが、エンディングの歌詞は変えられていて、
カントリーロード この道 ずっと 行けば
あの街に 続いてる 気がする カントリーロード
ひとりぼっち 恐れずに 生きようと 夢みてた
さみしさ 押し込めて 強い自分を 守っていこう
(略)
カントリーロード 明日は いつもの僕さ
帰りたい 帰れない さよなら カントリーロード
のようになっている。
この作品が公開されたのは1996年であるが、歌詞を見ていると、ジブリは日本の行く末を知っていたのではないかと思うほど、現在の日本人の姿とそっくり重なる。(「ひとりぼっち」「さみしさ」「帰りたい帰れない」)
安倍晋三首相のカントリーロードは亡国街道
安倍晋三首相は、「この道を。力強く、前へ」でんでんなどと言っているが、この道をずっと行って続いているのは、過労死・少子高齢化・介護難民・人口減・自治体消滅・孤独死・生涯未婚・貧困…etc、つまり、日本の破局である。オリジナルの歌詞では、"Almost Heaven"(ほとんど天国)というくだりがあるが、私にしてみれば、日本の現状は"Almost Hell"(ほとんど地獄)である。このまま人口減が続けば、"Absolutely Hell"(本当の地獄)になるだろう。
安倍首相や日本会議が唱える、「美しい国」(うつくしいくに)を逆から読むと、「憎いし苦痛」(にくいしくつう)になるのだが、どうしようもないほど憎くて苦痛な国になっていくのだ。「一億総活躍」を旗印に奴隷のように死ぬまで働くことを余儀なくされ、弱者は「自己責任」と切り捨てられ、年金はもらえず、結婚もできず、孤独にうちひしがれ……。
そう、自民党・安倍晋三ロードは、正に地獄の一丁目への道—亡国街道だ。
帰ることができる故郷がなくなっていく
「カントリーロード」(Take Me Home, Country Roads)の日本語タイトルは、「故郷に帰りたい」だ。このままだと、かつての故郷はなくなっていく可能性が高い。
毎日のように使っていた鉄道は廃線になり、住み慣れた町は空き家だらけになり、商店はシャッターを閉じ、学び舎は統廃合で廃校と化し、道路はひび割れ…、のようになっているのではないかと予想する。残念であるし、想像したくないのだが、人口が減るとはこういうことだ。映画の舞台となった聖蹟桜ヶ丘でも、少子高齢化が進んでいるという*1。
東京ではないのだが、高度成長期のニュータウンに私の家族と話すと「救急車のサイレンを聞く回数が増えた」「電車の乗客が少なくなった」と言われる。自治体のサイトを見てみると、いつしか「移住者歓迎」という特設ページができていた。
過ぎ去りし時を嘆くより、未だ来ぬ時を信じ、行動を起こそう
映画を見て、自分の過去と対比して、ブルーな気分になってしまう気持ちは分かる。しかし、時計の針を戻して、青春時代をやり直すことはできない。私たちにあるのは、未来だけだ。だから、未来を信じて行動を起こすしかない。「もう遅い」「手遅れだ」なんて言わずに。もし、あなたが今30歳で、15歳の頃からやり直したいと思っているならば、45歳のあなたが、30歳の頃からやり直したいと願って、30歳に戻ったつもりで。
どのように行動をするのか?──ある人は地方移住を推している、ある人は海外脱出を推している、ある人は起業を推している。親は、「頑張ればいつかは上の人に認めてもらえて正社員になれる」「結婚するなら大企業や官公庁勤めの安定した人となさい」と言っているかもしれない。──こればかりは、正しい答えはない。(私は海外脱出を推しているが、万人に当てはまる解決策だとは思っていない)
昨年末の記事でも書いたが、時代の潮流、自分がやりたいことと自分にできそうなことを見極め、自分にとって少しでもプラスになりそうな生き方を模索していく以外にない。映画のようにうまくいかないかもしれないし、その可能性の方が高い。それでも前に進んでいくしかない。
私の中学時代を振り返ると、お世辞にも充実していたとは言い難いものだった。公民の教科書に載っていた通勤客らでごった返す山手線の写真を見たり、巻尾の日本国憲法と現実の乖離に嘆いたりしたことが印象に残っている。そして、「何でサラリーマンなんかになんなきゃいけないんだろう」と疑問を抱きながら、地図帳を開いては、「将来は海外に出たいなぁ」と見知らぬ土地への思いをはせていた。
私の海外脱出は、誰から提案されたわけでもない。自分で選び、自分で決めた。
あなたは?
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*1:かつては“高嶺の花”ニュータウン いまは地価8分の1 一挙に高齢化 〈AERA〉|dot.ドット 朝日新聞出版