読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

だから僕は海外に出る、さあ君も

「日本って何か変だなぁ」という疑問を胸に、思い切って海外脱出した著者が、海外からの視点で日本の社会問題や海外脱出アドバイスを綴るブログ。日本の奴隷的な長時間労働にうんざりしている人、ナショナリズム台頭・人口減・財政難の日本の行く末を危惧している人、協調性という名の同調圧力に耐えられない人、とにかく自分の殻を破ろうと思っている人、そんなあなたに『海外に出ること』を選択肢の1つとして提案する。

だから僕は海外に出る、さあ君も - ニートのガラパゴス日本脱出日記

ガラパゴス化している日本の奴隷的な労働環境と保守的な社会構造に適応できずに海外脱出したニートが海外視点で綴るブログ

仕事なんかクソだろ? 就活やめて日本を出よう! 奴隷やめて海外に出よう! 語学を学び世界に出よう! 「仕事なんてクソだろ」が売り文句の「ニートの海外就職日記」に影響を受けた、あるニートのブログ

労働・サービス残業・ブラック企業・社畜・ワークライフバランス・海外脱出・日本脱出・英語・留学・人生・恋愛・政治・社会・日本・ニート・フリーター・貧困・ネット・IT

ヘイトクライムのピラミッド—差別と憎悪の裾野が広がっている

スポンサー広告

先月(7月26日)、神奈川県相模原市の障害者福祉施設で刃物を持った元職員が侵入し、障がい者19人を殺害するという戦後最悪の事件が起きた。この事件は海外でも大きく報じられた。

報道を見ていると、過去に起きた無差別大量殺傷事件と比べられていたが、今回の事件は、過去の無差別殺傷事件と異なり、「ヘイトクライム」である。

ヘイトクライム (hate crime)
憎悪に基づく犯罪。とりわけ人種・民族・宗教・セクシュアリティーなどに対する偏見や差別に基づくものをさす。憎悪犯罪。
スーパー大辞林3.0(C)Sanseido Co.,Ltd. 2010

ヘイトクライム(hate crime)やヘイトスピーチ(hate speech)の「ヘイト」(hate)とは、直訳すれば「憎悪」「憎む」「ひどく嫌う」という意味だが、この場合は、人種、宗教、出身、性別、国籍、性的指向、障がいの有無など能動的には変えられない属性によって、偏見を持ち、憎悪感を抱くという意味だ。

ネット・リアルを問わず公の場で言葉に出せば「ヘイトスピーチ」(憎悪表現)であり、傷害・暴行・破壊などの刑事事件を起こせば「ヘイトクライム」(憎悪犯罪)である。

在日外国人を排斥を訴える言論ばかりがヘイトとして取り上げられがちだが、そればかりがヘイトではない。障がい者、性的少数者、被差別部落出身者に対する侮蔑表現も立派なヘイトである。

東京都知事選である候補者が「日本人に対するヘイトを禁止する」という公約を掲げていたが、「差別をやめろ」「レイシストは帰れ」というのは、「暴言」「乱暴な言葉」に当てはまることはあっても、ヘイトには当たらない。

差別の裾野が広がっている

以下の図は「ヘイト暴力のピラミッド」である。

ヘイト暴力のピラミッド

(ヘイト 「クライム」 「スピーチ」 京都事件 から見えること)

このピラミッドの図示は、アメリカの中学や高校などでよく用いられるものです。マイノリティに対する暴力行為というものが突発的に始まるようなものではなく、まずは、最下層の悪意なき先入観が社会に浸透していることが土壌となって、偏見に基づく具体的な行為が行われるようになり、さらにこうした行為の数が増えるなかで制度的な差別、そしてついには暴力行為が発生するようになり、当初は散発的なものが徐々に社会全体に蔓延するところまで発展していく、という概念です。

今の日本では上図とまったく同じことが起こっている。ほんの10年前までは、ヘイトスピーチ(マイノリティーや弱者へのバッシング)といえば、ネット界隈、それも匿名掲示板の一部の匿名ネットユーザーによるものでしかなかった。時間が経つにつれ、ヘイトスピーチは収まるどころか拡大の一途をたどっている。深刻な社会問題にまで発展したヘイトデモ、書店にあふれる日本礼賛・嫌中嫌韓書籍の多さを見ても明らかだ。

もうひとつ、このピラミッドを考えるうえで大切なことは、害悪をもたらす確率の観点です。すくなくとも、現状では差別発言や犯罪煽動があっても大半の人はそれを真に受けることはありません。しかし、ネットや報道を介して何十万、何百万人の人々が聞けば、人口確率的には0.1%や1万分の1であっても、どこかでこの言葉を実行に移す極端に過激な人物の心に響いてしまうかもしれません。たった一人でも実行に移す人が出てしまえば取り返しのつかない結果となってしまいます。

今回の事件は、まさにその「たった1人」が実行に移した。この背後には、少なくない数の偏見や憎悪がぐつぐつと煮えたぎっている。それらがいつまた吹きこぼれるかわからない。ネット上では、「言っていることは分かるが…」「障がい者はいない方がいい」という無知な声が散見される。そのような考え方を持っている人は、100人に1人いるかいないかのような超マイノリティーである。しかし、マイノリティー同士がネット上で繋がり、共鳴しあうことで、憎悪が増幅していくことは、日本のみならず海外でも現在進行形で起こっている。

「たった1人」が指導者となり、大衆を扇動し、人類史上希に見る大虐殺(ジェノサイド)に発展したのがナチスによるホロコーストである。

※ 現在、ドイツにおいてナチスを賞賛する表現や言論は厳しく取り締まられている。自由を守るために、自由を否定する自由とは闘うという考え方からだ。

ヘイトの根っこを絶たない限り…

今回の事件では、措置入院のあり方や防犯のあり方が主に問われている。しかし、それらよりも大切なことは、差別主義を生み出している土壌、それを黙認し、増幅させているものが今の日本に間違いなくあるということを認識することだ。そういったヘイトの根を絶たない限り、第二第三の事件が起こりうるし、ヒトラーのような人間が権力を掌握するという可能性もゼロではない。

残念なことに、今の日本社会を見ていると、差別に対して無知・無関心な人が少なくないように思える。ヘイトスピーチと反安保デモが同一視されていたり、差別と区別の違いが理解してなかったり人を見ていると。

排除と差別の社会学 (有斐閣選書)

排除と差別の社会学 (有斐閣選書)

このブログをはてなブックマークに追加  

©2017 だから僕は海外に出る、さあ君も by 佐野由自