だから僕は海外に出る、さあ君も

「日本って何か変だなぁ」という疑問を胸に、思い切って海外脱出した著者が、海外からの視点で日本の社会問題や海外脱出アドバイスを綴るブログ。日本の奴隷的な長時間労働にうんざりしている人、ナショナリズム台頭・人口減・財政難の日本の行く末を危惧している人、協調性という名の同調圧力に耐えられない人、とにかく自分の殻を破ろうと思っている人、そんなあなたに『海外に出ること』を選択肢の1つとして提案する。

だから僕は海外に出る、さあ君も - ニートのガラパゴス日本脱出日記

ガラパゴス化している日本の奴隷的な労働環境と保守的な社会構造に適応できずに海外脱出したニートが海外視点で綴るブログ

仕事なんかクソだろ? 就活やめて日本を出よう! 奴隷やめて海外に出よう! 語学を学び世界に出よう! 「仕事なんてクソだろ」が売り文句の「ニートの海外就職日記」に影響を受けた、あるニートのブログ

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夫婦別姓を認めないのは日本だけ—「今も女性は月である」

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元始、女性は実に太陽であつた。真正の人であつた。今、女性は月である。他に依つて生き、他の光によつて輝く、病人のやうな蒼白い顔の月である。
()てこゝに「青鞜(せいたふ)」は初声(うぶごゑ)を上げた。

元始、女性は実に太陽であつた—今も月である

平塚らいてう前述の部分は、社会運動家である平塚らいてう(1886-1971)によって、1911年(明治44年)9月に創刊された日本初の文藝誌「青鞜」の冒頭部である。(全文はこちら)

平塚らいてうは1920年に市川房枝らと共に「新婦人協会」を設立。女性差別の撤廃や母性の保護を訴えた。しかし、当時の世間の眼差しは冷たく、「新しい女」と嘲笑気味に言われた。

「青鞜」創刊から100年あまりの時が過ぎた。日本は変わった。

新幹線が日本全国に整備され、温水洗浄便座が当たり前のようになり、スマートフォンが普及し、DNAによる父子判定が可能になった。また、二度の大きな戦争を経験し、敗戦後は、草案を作ったのがGHQとはいえ、民主的な憲法が制定された。高度経済成長もあった。その間に女性の社会進出も進んだ。

バブルがはじけ、今日の日本は絶頂期から下り坂にある。深刻な人口減とそれに伴う労働力不足が日本を襲っている。そんな中、女性の社会進出が今以上に求められている。

安倍晋三首相は、「女性が輝く社会」を謳っている。

しかし、女性は未だに「月」のままである。

「夫婦別姓を認めないのは合憲」—もはや「ホシュ教」という宗教

最高裁判所大法廷結婚すれば夫の姓を名乗る—明治時代から100年以上も続いてきた日本の制度である。日本の伝統とも言えるが、夫婦別姓を認めていないのは、世界広しといえどもはや日本だけである。当然のことながら、国連から改善を勧告されている。*1

※制度上は夫が妻の姓を名乗ることもできるが、実際は96%が妻が夫の性を名乗っている。

そんなガラパゴス化している因習が憲法に違反しているかどうかを争った裁判で、最高裁判所大法廷は、今日(2015年12月16日)、「夫婦別姓を認めないことは合憲」という極めて残念な判決を出した。ちなみに、15人の最高裁の裁判官のうち10人が合憲判断、5人が違憲判断である。女性裁判官は3人全員が違憲判断。*2

選択的夫婦別姓については先進国のみならず、世界中で認められている国際標準である。また、世論調査でも容認が過半数を占めている。*3

私は、「そこまでして守りたいものは一体全体何なのだろうか?」と考えてみた。反対派の声として、「家族の絆が壊れる」という指摘があるが、選択式夫婦別姓を導入している国で、それを選んだ夫婦の家庭が壊れているなどという話は聞いたことがない。同姓であれば、絆が保たれるものでもない。

私は、「宗教ではないか」と思い始めた。単なる保守ではなく、「ホシュ」という日本特有のカルト宗教ではないかと。そのホシュ教の見えない経典には「夫婦は同姓になるべし」とでも書いてあるのだろう。安倍晋三首相のいう「美しい国」もこの経典に基づいているのであろう。

「ホシュ教」の総本山は日本会議という極右団体

日本の保守は、単なるコンサーバティブ(conservative)を通り越して、「ホシュ」という宗教的な匂いさえ漂わせているが、その総本山とも言えるのが「日本会議」という極右の任意団体である。私は聞いたこともなかったのだが、今年辺りからちらほら耳にするようになった。(以下は公式サイト)

この「日本会議」が通常の右翼団体と違うところは、構成員に保守派の知識人が数多く、安倍政権にも強い影響力を及ぼしているところである。第2次安倍内閣の閣僚19人のうち13人が懇談会のメンバーであり、また、日本会議地方議員連盟所属の議員が全体定員の40%を越える県議会が国に15に及ぶ。日本会議の名誉会長(前会長)は、元最高裁判所長官なのである。*4

こんな宗教的で不気味な極右団体が、気付かないうちに三権の中枢にまで深く入り込んでいることに、私は戦慄を禁じ得ない。

※前述の平塚らが活躍した時代の自由主義的・民主主義(デモクラシー)的風潮のことを「大正デモクラシー」と呼ぶ。しかし、1929年の世界恐慌後から徐々にデモクラシーの火は消されていった。政府に批判的な書物は検閲され、批判的な人物は摘発された。プロレタリア文学『蟹工船』の著者である小林多喜二も官憲の手で惨殺された。今の日本と何か重なるものを感じる。(自民党=自由民主党=自由?民主?)

自分らしく生きたい人は迷わず海外へ出よう

ところで、このブログでも度々取り上げていることであるが、自分らしく生きたい人は海外に出ることを検討して欲しい。

※ 日本には、夫婦別姓以外にも時代遅れなことがまかり通っている。劣悪な労働環境しかり、正社員と非正社員の格差しかり、野放しなヘイトスピーチしかり。

今回の判決により、今後数十年間は裁判による解決は期待できない。夫婦別姓よりリベラルな度合いが強い同性婚容認はさらに期待できない。政府の自主的な法改正についても、保守主義の自民党が政権与党である限り実現はまず不可能である。

2008年の衆院選のように政権交代が実現すればいいのだが、野党の力はまだまだ弱いと言わざるを得ない。選挙が近づいてきたら、国民受けしそうな政策(携帯電話料金の引き下げ、軽減税率など)を打ち出して煙に巻き、選挙が終わったら国民の反発が根強い法案を強行採決するのは自民党の十八番である。(なめられたものだねぇ) 来年の参院選で野党が勝つのは微妙なところだ。

最後に……国民審査もお忘れなく

10年に一度だが最高裁判所裁判官の国民審査がある。国民審査で罷免された裁判官はおらず形骸化しているが、何もしないよりかははるかにマシだ。

合憲意見を出した10人の裁判官には、「×」を付けることを忘れないようにしたい。彼らは、極めて封建的な性差別主義者であり、裁判官の器はこれっぽっちもない。

絶望の裁判所 (講談社現代新書)

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©2018 だから僕は海外に出る、さあ君も by 佐野由自