深刻な少子高齢化や、それに伴う人口減問題に関連して、日本への移民受け入れ問題が取りざたされている。
※ 日本の人口「移民で1億人維持可能」 政府、本格議論へ (2014/02/25 朝日新聞)
外国人は日本で働きたがらない2つの理由
日本みたいな人権無視の奴隷的社畜労働をさせて、労働者が過労死しても屁とも思わないような国に移民なんかやってこない。
①成果と報酬が比例しない (特にホワイトカラー)
日本では、どれだけ成果を出しても、「若くて勤続年数が短い」という理由だけで、成果に見合った地位と賃金が与えられない。逆に、どれだけぐうたらしていても、「年齢が高く勤続年数が長い」というだけで、中高年には高い賃金が与えられる。最近は、年功序列は崩壊したといった声も聞かれるが、日本の会社(特に大企業や官公庁)を支配しているのは、相も変わらず中高年層である。
年功序列という考え方は日本や韓国ならではである。儒教の影響を受けた日本の文化であるが、外国人には理解されない。
②劣悪な労働環境
日本では「サービス残業」(という名の強制ただ働き)が蔓延している。働いたら、それに応じた賃金が支払われて当然という価値観を持っている外国人に、サービス残業なんて受け入れられるはずがない。残業代が全額支払われたとしても、残業が極めて多く、有給も満足に消化できない*1日本の労働環境に外国人は耐えられない。
途上国の若者は欧米を目指す—日本なんて眼中にない
英語を含む複数ヵ国語を流ちょうに話し、ITリテラシーが高く、ハングリー精神に満ちた途上国の高学歴の若者は、就労先としての日本なんてまったく眼中にない。彼らが選ぶのは、アジアではシンガポールや香港、欧米英語圏なら、オーストラリア、カナダや米国である。
特に語学力が堪能で、高いITリテラシーと専門知識を持った人は、日本に限らず世界中が欲しがる人材だ。欧米で普通にビザを取得し、就職できるだけの能力がある人が、奴隷的な社畜労働環境の日本を選ぶ理由なんてどこにもない。相当な日本びいきでもない限り。
ホワイトカラーはもちろんのこと、外国人実習制度による単純労働者や、不法移民でさえ、日本を目指す人は少なくなってきている。*2*3
データブック国際労働比較によると、日本の全労働人口のうち、外国人労働者(外国人技能実習生・留学生アルバイトを含む)が占める割合は1%に過ぎない。米国は16.2%、英国は7.3%、ドイツは9.4%、シンガポールは34.5%、韓国は2.1%である。*4 東京23区に限れば、外国人居住率は3.96%(2011年度の外国人登録者数)である。*5 世界都市指数では東京は4位だが、外国人居住者の割合は、海外主要都市の足下にも及ばない。
※その日本大好き人間を、日本大嫌い人間に変えるほど、外国人からみた日本のクソ労働環境はひどいんだけどね。
※円安とアジアの経済発展により、訪日外国人観光客数は過去最高を更新しているが、「観光・旅行」と「労働・定住」はまったく違うことに留意してもらいたい。
資格取得を目指して来日する候補者の数は、EPAによる受け入れが始まってから、インドネシアの場合で半数、フィリピンの場合は3分の1に減っています。時論公論 「介護福祉士 外国人受け入れの課題」 (NHK)
うろ覚えだが、ずっと前にNHKで「資格を取ってどこの国に働きたい?」という質問に「日本」と答えた人は、20人中たった1人で、残りの人は「カナダ」と答えたと記憶している。
英語で「日本の労働環境」を検索すると、karoshiにたどり着く
ITリテラシーが高く、海外就職を志す彼らは、日本のことをよく知っている。SNSが普及した近年ではなおさらだ。日本の労働環境の劣悪さは、「悪事千里を走る」のごとく、あっという間に世界に広まり、「日本の労働環境はクソだからやめとけ」ということになる。
英語版のGoogleで”Japan work”と検索して、サジェスト機能が出したキーワードは、”visa"に続いて、”culture”と”ethic”(倫理)だ。そして、"japan work culture”や”japan work ethic"と検索して、ヒットするページは、Wikipedia英語版の”Japanese work environment”(日本の労働環境)である。そのページには、もはや世界語となったカローシ(karoshi)や、サービス残業(unpaid overtime)のこともしっかり載っている。全部事実だから当然だけど。
日本を就職先として考えている人がいても、この時点で候補から外れるんだよ。奴隷候補なんてまっぴらごめんだから。(笑)
出稼ぎ労働者はやって来ても、定住はしない
とにかく稼ぎたいけどスキルがないという非技能労働者であれば、日本にやって来るだろう。しかし、日本の奴隷的社畜労働やKY的な集団主義には慣れることはできない。
結局は幻滅して母国に戻る。あるいは、稼ぐだけ稼いで母国に戻って商売を始めたり、欧米移住への足がかりにするために大学に進学したりする。日本を安住の地とする人は少ないだろう。
「仕事に疲れました……」
インドネシアにはフィアンセがいるが、仕事の当てはない。日本に残れば、最低でも1年は仕事を続けられる。しかも国家試験に合格すれば彼女を呼び寄せ、日本で永住することも可能なのだ。
「いや、もう日本はいいです。お金がすべてじゃないでしょ?」
インドネシアから来日した看護師たち すでに6割以上が帰国 (NEWSポストセブン)
移民受け入れの是非を検討する前に、日本のクソ労働環境を何とかしろ!
外国人から見れば、日本は旅行先としては悪くはない。和食、質の高いサービス、鉄道網やトイレは外国人にも評判がいい。「お・も・て・な・し」の精神も理解されている。
しかし、日本の奴隷的な社畜労働を強制されるクソ労働環境は、極めて悪評だし、理解もされない。移民受け入れを検討する前に、ブラック企業を撲滅し、ワークライフバランスの取れた至極真っ当な労働環境を提供するのが筋ではないか。そもそも、少子高齢化の原因の1つが、日本のクソ労働環境なのだから。
日本で奴隷になれだって?そんなもの、私も外国人も「お・こ・と・わ・り」だね。
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