J-CASTニュース「「教わっていない仕事はできない」と答えて何が悪いの!?」によると、Q&Aサイト「OKウェブ」に「教わっていないのでできませんはダメ?」という質問が投稿された。
質問者に社畜猛反発
要約すると以下の通りだ。
急に会議に行くことになった上司が、その部署に異動になったばかりの部下に仕事を任せようとした。ところが、その部下が素直に 「教わっていないのでできません」と言ったところ、「『教わっていないからできない』が許されるのは学生までだ。分からないなら自分で調べろ!」 と叱られた。そういうことを想定して、仕事の予習までしなければいけないのか?
寄せられた回答は予想通り、「待ってました」と言わんばかりの社畜による質問者非難の大合唱で、「あなたのような若者を見ると戦慄が走る」「仕事に対して緊張感がない」「発想が学生すぎる」といったものばかりだった。
労働者はスーパーマンではない
OKウェブの回答では「応え方」について言及している回答者も多かったが、応え方云々と言う前に、教わっていない仕事はできなくて当たり前だし、そもそもできない仕事を任せないのが当たり前である。海外ではこれが当たり前だ。上司は部下のスキルを適切に把握し、それに合った仕事を割り当てる。ところが、仕事観がガラパゴス化している日本ではそうではない。
指名されて「できません」が通るのは学生だけだ。社会人は、ありとあらゆる自体を想定して、万全の体制で職務に臨むべきだ。例えできないことでも、できる限りの努力をして最善を尽くすべき。それが社会人である。
あきれた。もはや、「労働者はスーパーマンであれ」と言っているようなものだ。屁理屈の極みである。彼らは、労働者のことを、何でもできて当然の便利屋としか見ていない。だから「できません」と言われると、「できないとは何事だ」と叱責する。
例えると、家のトイレが詰まってトイレ修理業者を呼んで、修理に来た者に『エアコンの調子も悪いからついでに見てくれ』と言っているようなものである。
できないものはできない。できる人に任せればよいだけではないか。
海外ではそもそも必要な能力がない労働者は最初から採用しない
では、海外ではどうなっているのだろうか。求人する企業は、求人広告を出す時点で、どういう職種を募集しているのか、どういう能力が必要なのかを明確にしている。求職する側も履歴書に、応募先の職務に関係する自分の過去のキャリアや、持っているスキルを余すことなく書く。それを元に、企業は書類選考から電話面接、対面面接へと進んでいく。面接では、企業と応募者は「職務内容」「必要な能力」「賃金」などを対等な立場で話し合う。お互いに折り合いがついて、「一緒に働きましょう」ということになる。もちろん、勤務を開始するに当たって、その会社独自のルールややり方など知っておくべきことがあれば、仕事を始める前にオリエンテーションがある。
職場でも、各々の職域は明確であり、日本のように「教えていない職域外の仕事を押しつけ、できないなら自分で調べるのが社会人だ」などと精神根性論丸出しの無理難題を押しつけてくる社畜なんていない。
先ほどのOKウェブの中に、
質問者さんは何も間違った事はしていない。社会人であってもきちんとした教育はあるべき。
という回答があったが、これこそが “Spot On!” グローバルスタンダードな考え方であろう。
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「社会人」という名の下に完璧を求める日本の仕事観
「社会人なら仕事を優先して当たり前」「社会人ならできないことも努力してやり遂げるのは当たり前」などと言ったような『社会人の辞書に不可能の文字はない』といったねじ曲がった労働観をお互いに押しつけ合っているのは日本だけだ。それを真に受けた労働者は、貴重なプライベートの時間までをクソ仕事のために浪費していくわけである。
企業よ、そんなに万能な労働者が欲しいなら、求人広告に「要TOIEC990点、要フランス語検定1級、簿記1級、要医師免許、要教員免許、要弁護士資格、要大型二種免許 etc」とでも書いておけ。きっと何でもできる超能力を持った宇宙人が応募してくれるぞ。(笑)
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