昨日、結婚していない男女の間に生まれた子(婚外子)の遺産相続分を結婚している夫婦の子(嫡出子)の半分とした民法第900条の規定が、違憲であるとの最高裁の判断が下った。
婚外子相続格差は違憲=「家族形態は多様化」― 民法規定めぐり初判断・最高裁大法廷 (時事通信 2013年09月04日)
差別とは自分の力ではどうにもできないことで不利に扱うこと
親が結婚していないという選択の余地がない理由で子に不利益を及ぼすことは許されない
のが判決理由だ。至極真っ当である。差別とは、「あなたの力ではどうにもできないことで、不利な扱いを受けること」である。性別、国籍、出身地、人種、障害の有無などは本人の力ではどうにもならない。日本人に生まれたくて生まれた人もいれば、そうでもない人もいる。
両親が法的に結婚しているかどうかは、子供にとっては決められないことだ。それによって、子供が不利な扱いを受ける。すなわち差別である。これを差別と呼ばずして、一体何を差別と呼ぶのだろうか?
国連の是正勧告から20年も放置された差別
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婚外子差別の撤廃は欧米諸国では1960年代に実現しており、中国や韓国でも実現している。欧米に遅れること半世紀、諸外国や国連からもさんざん差別であると指摘され、今頃になってのようやくの違憲判断だ。遅きに失した。日本人がいかに差別に対して鈍感であるか、日本の司法がいかに保守的で事なかれ主義であるか、日本の立法がいかに自浄能力に欠けているかを、改めて世界に知らしめたのではないか。
今回の最高裁の判断が出たことで、政府は民法改正を迫られる。自民党の保守系の議員は反発しているが、最高裁の判断を尊重して、速やかに改正に取り組んでもらいたい。間違っても、憲法の方を、民法に合うように改正しようなどいうことは考えないでもらいたい。(頭が封建時代でストップしている自民党ならやりかねない)
見るに堪えないヤフーコメント
ヤフーニュースには、利用者が自由に投稿できるヤフーコメント(ヤフコメ)というコメント欄がある。ヤフコメには、このニュースについて目を疑うようなコメントが数多く付けられている。見ずに無視すれば良いのだが、無視すればするほど、世論が間違った方向に誘導されるのではないかと私は危惧している。
ヤフーは、日本でトップのアクセスを誇るポータルサイトだ。ヤフーのトピックスに掲載されたニュース記事には膨大なアクセスがあり、そこから関連サイトとしてリンクされたサイトが、ヤフー経由のアクセスの多さに耐えきれずサーバーダウンしてしまうケースも珍しくない。
ヤフコメは、記事のすぐ下にあり、記事を読んでいけば、否が応でもコメント欄に目がつく。各コメントは、閲覧者が「そう思う」か「そう思わない」を投票できるようになっており、「そう思う」数が多いコメントほど上位に表示される。そのため、間違ったコメントが、たくさんの「そう思う」を得て、トップに表示されていると、それが正しいのではと思う人も出てくるかもしれない。ネットによる選挙運動が解禁された現在、それまで時事ニュースに興味がなかった若年層が、SNSで興味を抱いてくることが考えられる。多くがアクセスするのがヤフーニュースだ。そこでトップで表示されているコメントが的を射ていないコメントだったら、彼らはどう判断するだろうか?私は、ネット世論が間違った方向に流されることを懸念している。
正しいコメントを書いた人に、たくさんの「そう思わない」が付いていて、逆に間違ったコメントにたくさんの「そう思う」が付いているケースが少なくない。今回のニュース記事がその典型例だ。
ここでは各コメントについては取り上げないので、「『婚外子』相続差別違憲判断に憤慨する人々」(Togetter)を参考にしてほしい。
私としては、差別的で見当違いな投稿であふれるヤフコメは閉鎖してほしいのだが、リニューアルしたあたりを見ると、それはありそうもない。せめて、書き込みに必要なアカウントをFacebookのみに限定してもらいたいものだ。
時代は常に「伝統」に洗脳された封建主義者たちとの闘いだ。まだまだ、日本には多数の理不尽な差別が残っている。労働環境もその1つだ。闘いはまだまだ終わらない。
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